「どんな形でも人前に出ていたほうが、演技にもプラスになる」

 バイク便などアルバイトをしながら地道に続けていたが、’01年に役者人生を劇的に変えることになる、月9ドラマ『HERO』の仕事が舞い込む。“あるよ”という台詞だけでお茶の間に強い印象を残した

「たったひと言の台詞で話題になっちゃダメですよね(笑)。あの作品のおかげで仕事が増えましたが、苦労もしました。それまでやったことのないバラエティーのMCのお仕事とかいただいたのですが、自分がそこまで育っていなかったから、それで仕事が減ってしまった時期も……。

 あと役者が素を晒すことは演じるうえでマイナスになるのでは? という葛藤も正直ありました。でも、バラエティーの人たちの頑張りを見たら、そんな考えも吹っ飛んで。どんな形でも人前に出ていたほうが、演技にもプラスになるって考えに変わりましたね

 現在は芥川賞作家の羽田圭介とテレビ東京の人気シリーズ『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』に出演中。

会話のトレーニングにはなっていると思います。ほっとくと話が弾まない相手ですから(笑)。年齢的に僕がツッコんであげなきゃいけないのかなって思うけど、やっぱり芸人さんみたいにうまくは拾えないですね。(太川陽介と蛭子能収の)前シリーズが人気だったぶん、僕たちへの批判的な声が多いのも知っています。僕としてはそんな世間の声も巻き込んで、番組に反映してもいいんじゃないかな? とは思うのですが、スタッフがまだビビっているのかも(笑)」

 人気シリーズのレギュラー抜擢に映画初主演と、50代に入って勢いが“あるよ”状態の現状を聞くと、

「作品のサイズ感もあるでしょうが、思うほどはプレッシャーにはなっていませんね。でも、やっぱりメインは大変だなって実感しています。撮り終わっても、こうして宣伝活動もしなくちゃいけないし(笑)。今回の作品は12日間で撮り終えたけど、撮影中は休まる時間がなかった。例えば朝ドラヒロインなら、こんな状態を半年も続けないといけないわけだから、いつもできる仕事ではないなと思います。

 この作品は海外の映画祭からのオファーが多いのですが、世界中の方に見てもらえる作品で主演をやらせてもらえたことは、本当に光栄ですね

田中要次主演の映画『蟲毒ミートボールマシン』
田中要次主演の映画『蟲毒ミートボールマシン』
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<出演作品>
映画『蟲毒 ミートボールマシン』
出演/田中要次、百合沙、しいなえいひ、斎藤工ほか。東京・新宿武蔵野館で公開中。