そんな羽賀だからこそ、塀の中でも自分の財産を守ることに執着していたのかもしれない。協議離婚により不動産の所有権が羽賀からM夫人に移ったことを、夫婦そろって直筆で署名捺印された書類を法務局へ提出。また、別の書類には、彼と面談した司法書士が所有権移転についての事情について、こう記している。
《苦労をかけ続けた配偶者と離婚することになり、根抵当権等の担保が設定されている不動産ながら、これを財産分与することとした》
だが、これにY氏は真っ向から反論する。
「だいたい離婚して、16筆すべての不動産を妻に渡すっておかしくないですか? しかも、昨年10月に一審の判決が出た2か月後に離婚なんて、タイミングがよすぎます。私は財産を守るための偽装離婚だと思っていますよ。それで、強制執行不正免脱罪で沖縄県警に告発したのです。実刑になればさらに刑期が延びるでしょうし、逃げ得は許さないですよ」
そこで告訴状が受理されたのかどうか、沖縄県警察本部に問い合わせると、「質問についてお答えすることはできません」とのことだった。
満期であれば'19年に出所予定だが、延長される可能性はあるのだろうか。刑法に詳しい『弁護士法人・響』の徳原聖雨弁護士に聞いてみると、
「この時期の離婚が正当なものなのか裁判所は厳しく見ると思います。また、強制執行を免れるために奥さんも協力したとみなされれば、共犯ということで罪に問われることになるでしょう。
法律上は3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金ですが、数億円という額ですので罰金ですむ話ではないと思います。執行猶予がつく可能性もありますが、非常に厳しい判決になることも考えられます」
今回は妻も含めて罪に問われる可能性が出てきた。羽賀事件の第2幕が、ついに切って落とされたのだ。