地名は土地の危険度の手がかりになる
「知っている地名を思い浮かべてみてください。山、川、浜……など、地形を表す漢字がよく使われていますよね。地名に入っている漢字は、その土地の特徴を表していることも多いです」
と指摘するのは、名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫教授だ。
「注意すべきは、水辺の地名です。水辺で低い……ということは、水害危険度の高い場所になります」
具体的には、まず、“さんずい”がついている漢字(池、沢、沼など)が挙げられる。
「川、窪、田などがついている地名も、近くにそれらがあるはずです。都市開発の中で、そのような水っぽくて低い土地には、新たに土が盛られました。当然、地盤はやわらかく、沈下もしやすい」(福和教授、以下同)
さらに、谷がつく地名にも注意したい。
「私たちが平らな場所だと思っている場所も、昔は起伏がありました。でも、それでは住みにくいので飛び出している尾根を削り、低い谷を埋め、平らにしてきたわけです。“谷埋め盛り土”は土砂崩れを起こしやすいんです」
詳しくは表にまとめたとおり。
「昔ながらの地名は“ここはこんな特徴のある土地ですよ”と先人が残してくれたメッセージとも解釈できるのですが、都市開発が進む中で、地名が変わってしまうこともあります。でも、バス停の名称には比較的残っていますね」
もちろん、すべての地名が地形に由来しているわけではないが、備えあれば憂いなし。住まいや子どもの学校周辺、夫や自分の職場周辺などがどうなっているのか、チェックしておくといいだろう。
<解説してくれた人>
◎大木裕子さん
地球科学コミュニケータ。地震や地盤災害などに精通。著書に『住んでいい町、ダメな町 自然災害大国・日本で暮らす』(双葉社)
◎福和伸夫さん
名古屋大学減災連携研究センター教授、センター長。安全で安心な国・地域を実現するために災害軽減の研究を行っている。H26年防災功労者防災担当大臣表彰を受賞