相撲界という男社会での仕事
「本場所前の2週間は毎日、朝稽古の取材に行きます。朝7時過ぎには家を出て、朝稽古は午前中で終わりますが、その後、イベントやパーティー取材にも行きます。場所中は中継の録画をかけて、国技館に出かける。地方場所は出張で行けるのは数日と限られているぶん、東京場所や、近くの巡業などはできるだけ、足を運ぶようにしています。
本当はそんなに通っても場所中は基本、テレビカメラはNHK以外は入れない。でも、常に現場にいて力士たちに『いつも取材してくれている』という信頼感を抱いてもらえれば、彼らの答えもおのずと変わってくるだろうし、こちらの質問の内容だって日々見ていれば『場所前の稽古ではこうでしたが』と聞くことができるでしょう。
そういうことを怠ると、薄い取材しかできない。労多くして実り少ないけど、私はずっとこうしてやってきたし、これしかできないんです」
同じ伝える側の人間として、ガツン!と頭を殴られたような気持ちになる、この徹底した取材主義、現場主義。自らを“相撲リポーター”と呼ぶのも、「私はリポーターの仕事でずっときたし、それにプライドを持ってる。常に現場から伝えるリポーターでありたい」という想いからだ。
とは言え、大相撲という純然たる男社会。女性リポーターが入っていくのは生半可な苦労ではなかったろうが、
「何か言われていたかもしれないんですが、気にしなかったし、気づかなかった。気にしてる暇がなかったんです。それよりインタビューを10分取らなきゃいけないってことに必死ですから」
という姿勢は、あらゆる仕事をする人への助言になる。横野さん、”私の仕事術”という本を書いてください!
「いえいえ、信じた道を必死に突き進んだら、今があるという、それだけです」
って、カァ~ッ! それぞ相撲道ではないですか。かっこいい!