災害伝承の課題とは?
2004年、消防庁が災害伝承に注目、全国に伝わる災害伝承を集め整理、伝えるプロジェクトに乗り出した。現在、同庁のホームページには全国各地の災害に関する言い伝え、教訓など800件以上が集約されている。「地震が起きたら竹やぶに逃げろ」、各自一刻も早く津波から逃げる「津波てんでんこ」など、先人の教えを誰でも閲覧できる。
ただ、伝承を用いた災害の継承方法について課題も残る。
「東日本大震災の被災地でも過去の津波被害を伝える石碑や伝承が数多く残されていましたが、形になっていても日常的に目にしていると、その存在を忘れてしまうんです」
と畑中氏は指摘しつつ、
「近年の災害をどのように伝えるか具体的な名案は見つかっていません。しかし、過去を見直し、新しい伝承の形を考える機会だと思うんですよ」
奇怪な話はいつの時代でも人々の好奇心をくすぐる。
「昔ばなしや妖怪の話を面白がるだけではなく、なぜその土地にその話が伝わっているのか、その背景も見てほしい。災害と結びつくものが見つかるはずです」(畑中氏)
民話に登場する人々や妖怪は時代を超え「地域の災害危険度」を語り続けている。