芸能界にも不登校経験者は多い

 実は芸能界にも「不登校だった」と告白している人は多い。演出家の宮本亜門は、不登校新聞のインタビューで高校生時代の体験を語っている。不登校新聞では「不登校50周年プロジェクト」を昨年から継続していて、多くの不登校経験者の声を集めて紹介している。

 またマルチな才能を発揮している星野源も高校で登校拒否に。芸人の千原ジュニアは進学校の雰囲気になじめずに、AKBの指原梨乃、タレントの中川翔子は、無視されるといういじめにあって中学時代に不登校になったとテレビなどで語っている。

 こうした経験者の声は、大いに参考にしたい。

不登校の子どもが大人になって、引きこもりになりやすいとも言われています。でもその一方で、アメリカの大学に入り、国連で働いている人もいます。どっちの道を進むのか、それは親の力が大きいと思います」(石井さん)

 親が子どもの気持ちに寄り添い、どこまで子どもと向き合えるか。そのためにも、関係者の話を聞き、情報を集めることが大事だと尾木ママも石井さんも声をそろえる。

「欧米やカナダでは、学校に通わずホームエデュケーション(家庭で学習する)という選択肢もあります。学校が合わない子どもたちのためにも日本でも認めてほしいわね。そういった点についても議論していきたいと思っています」(尾木ママ)

「親の会やフリースクールには不登校の子どもたちと向き合った、プロフェッショナルがいます。これまで積み上げてきたことをシェアすれば参考になることがたくさんあるはず。具体的なアドバイスが聞けたり、仲間づくりができたり、ときには愚痴の捌け口にもなっている。そうして親が元気になると、子どもも変わるようです」(石井さん)

 最後にフリースクールの月謝の全国平均は3万3000円。高額なところはよく検討して。相談に行くときは、親だけでもOKで、親の気持ちをよくわかってくれるところを。そして「壺を買え」といった霊感商法に巻き込まれないこと。冗談のようですが、悩んでいる親の心につけ入る商売があることを告知しておきたい。


石井志昴 全国不登校新聞社発刊の「不登校新聞」編集長。中学受験の失敗、いじめなどにより中2から不登校に。フリースクール「東京シューレ」に入会。17歳から同社で編集に携わり、2006年に編集長に就任。

尾木直樹 教育評論家、臨床教育研究所「虹」所長、法政大学特任教授。子どもと教育、いじめ問題、メディア問題を中心に調査・研究、講演活動、執筆、メディア出演など幅広く活躍。「尾木ママ」の愛称で親しまれている。