アベノミクスはパフォーマンス
「保育士や介護士は、人件費が顕著に低い公的サービス業の代表格です。人手不足の原因は低賃金ですから、賃金を上げるしかない。賃金を上げるには税金を流すしかない」
多くの国民がアベノミクスの成果を実感できないでいる。どのような経済政策で暮らしを立て直すべきか。
「所得の低い人の賃金を上げれば、基本的には上げた分だけ消費が伸びる。保育・介護分野だけでなく、公に関わる低賃金の仕事はたくさんある。最先端の研究開発をサポートする国立大学のスタッフや消費者センターの職員は非正規で低賃金です。賃金が上がれば、市場原理で同程度の賃金水準を持つ民間企業は人が集まらなくなり、ほかの仕事の賃金も上がっていく。
格差の是正は結果ではありません。是正することで消費が増えて経済の回復につながる。お金のバラマキでは持続可能性がないので、必要なサービスを担っている人の賃金で所得格差の是正を図っていく。これは経済対策です」
安倍首相は経済界に賃金引き上げを要請してきたが、私たちの給料はいっこうに上がらない。枝野氏は「しょせんパフォーマンスにすぎない」と切って捨てる。
「日本は社会主義国ではないので、民間企業が総理から言われたからといって賃金を上げられるわけがないんです。民間企業が上げざるをえない状況に追い込むしかない」
原発ゼロをどう実現するのか。改憲勢力が国会発議に必要な3分の2を大幅に上回ったのも心配だ。
「原発を本当にやめたと宣言するには、使用ずみ核燃料の処理や原発立地地域の雇用を含めた地域づくり、廃炉を進めるための技術者や財源を確保しなきゃならない。リアルな工程表を示していきたい。
憲法は良い方向に変わるならば改正を否定しない。いわゆる護憲とは違うのですが、自衛隊を明記することは、明記しただけで何も変わらないならともかく、今は安保法制で自衛隊が海外に行けることになっているので、追認すると軍隊と変わらなくなってしまう。それはとても賛成できないという立場です」