単純に「あの役、全然引き出しないな」って思われるのが嫌だから…
――稽古(けいこ)場や舞台上で印象に残っていることは?
植原 一番すごいな~って思ったのが、『スカーレット・ピンパーネル』と『キューティ・ブロンド』で、1回ずつ違う歌詞が出てきたことがあったんですよ。
佐藤 アハハハハハ! 歌詞ね(笑)。
植原 その間違いは……僕はもちろん、一緒に稽古もしてきた人間として気づくのですが、お客さんが気づかないようなレベルで修正するんです。
佐藤 改めて言われると恥ずかしいんだけど(笑)。
植原 1行だけなんですけど、もちろん音もバッチリ合ってますし、あの作詞能力はすごい!
佐藤 役者は笑いをこらえるレベルで間違ってるんですけど、お客さんは気づいてなかったと思います。
植原 全然焦ってた様子もなかったですし。
佐藤 内心、超焦ってましたけどね。僕が植原くんのお芝居でいいなと思ったことは、稽古中にいろんなことを次々トライするところ。それで勇気づけられて、自分も『キューティ』のときは、すごくトライするようになって。
植原 それはストレートの舞台(歌やダンスなどがない舞台作品)で教えていただいたことですね。でも正直に言うと、「あの役者、全然引き出しないな」と思われるのが嫌だから(笑)。
佐藤 同じことばっかりやってるなアイツって?(笑)。
植原 「この作品に愛があります」という表現のひとつなのかもしれないです。毎回楽しそうに演じると周りのキャストの方もハッピーになりますよね。
佐藤 うん。楽しくなっていくし、たっくんがあんなにやってるんだったら、僕もやってみようってなる。
植原 あと僕が『キューティ』で神田沙也加さんとデュエットしていたとき、癖で唇を舌でペロッとしていたみたいで。稽古場でそれをシュガーさんが気づいてくださって。結構真面目なトーンで「たっくんなんかさ~、すごいペロペロしてるよ」と教えてくれたんです(笑)。
佐藤 フフフ。
植原 僕は全然気づいてなくて、「え? どういうことだ?」って思っていたら、スマホで僕の口を動画で撮ってくれていて(笑)。
佐藤 勇気を振り絞って言ったら、「いや、そんなにやってないと思います」って言うから、なんとかわかってもらったほうがいいと思って(笑)。
植原 まさかずっと顔のアップで撮ってくださっているとは思わなかったから、とても面白かったです(笑)。