大相撲初場所がいよいよ開幕した。
11月場所中に発覚した日馬富士による貴ノ岩殴打事件からの騒動、さらに行司によるセクハラ問題……。
相撲界どうなっちゃうの? という注目の中で始まった初場所とあって、初日の国技館の周囲には各局のTVカメラが集まり、ファンの声を拾うインタビュー姿が数多く見られた。実際、遅くに国技館に到着した私の友人も声を掛けられたそうだ。
純粋に相撲を楽しみたい
そうした意味で注目されたのは八角理事長による「協会ごあいさつ」。毎場所の初日と千秋楽に行われる理事長のあいさつだが、先だっての11月場所千秋楽では謝罪の言葉があり、そこへ館内から理事長へのエールの声が飛んで、感極まったのか、理事長が声を詰まらせる場面もあったが、今回は特に謝罪の言葉はなかった。
これを批判する人もいるかもしれないが、すでに前日、記者会見で謝罪をしており、初場所の初日、新しい気持ちで場所に臨むには、これでよかったのではないか? と私は個人的に思う。
国技館の一観客として場内を見回すと、拍手こそ起これど、ブーイングなどは一切なし。実際に国技館に足を運ぶファンたちは、正直もう騒動はいいよ、という気持ちの人が圧倒的という印象だ。
それより純粋に相撲を楽しみたい! 土俵上で私たちに喜びをください、という気持ちがずっと強かったように思う。
実際、相撲ファンたちは一番一番どの勝負にも温かい拍手と声援を送っていたし、期待からか館内には普段よりずっと朝早くから観客が集まり、朝10時半に私が着いたとき、すでに1階マス席は3分の1が埋まっていた。
騒動の最中にはモンゴル人力士への心ない差別報道もあったが、そういう空気もなかった。いい相撲には誰にでも惜しみない拍手が送られ、力士たちも一人一人、今年最初の相撲に全力を尽くしているのがひしひしと伝わった。
見ていて、ああ、おすもうっていいなぁ、やっぱりおすもうって見る人を明るく幸せな気持ちにしてくれる、とづくづく思った。平和で多幸感にあふれ、これぞLOVE&PEACEの場と言いたい。