クズキャラ・久保田を
本気にさせてくれた言葉

 サバ缶並みに本人たちが腐りかけていた中、『M-1』の参加資格ラストイヤーということもあり、昨年は再び漫才と真剣に向き合うことを決意。大会に照準を合わせ、単独ライブなどを積極的に行い、自信のネタを仕上げていった。

とろサーモン(左)村田秀亮、(右)久保田かずのぶ 撮影/吉岡竜紀
とろサーモン(左)村田秀亮、(右)久保田かずのぶ 撮影/吉岡竜紀
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村田「決勝の日(12月3日)が僕の誕生日だったんです。だから、決勝に進むことさえできれば、チャンスはあるんじゃないかなと思ってました」

久保田「『M-1』最後の年ということで、漫才のスタイルを変えたんです。14年はいていた靴が合わなかったけど、靴を変えてみたら思ったより走りやすくて、いつの間にか先頭を走っていた……という感じでしたね」

村田「『陸王』かよっ!!」

 元嫁の財布から抜いた金で遊ぶなど、クズキャラで知られる久保田。しかし、そんな彼を本気にさせた背景に、ある人物の言葉があったとか。

久保田「死のうと思っていた時期に、放送作家の樅野太紀さん(以前はチャイルドマシーンというお笑いコンビで活動)に“東京に来てからずっと雨が降っているな。でもお前に見せたい景色がある。雨が上がった後の虹ほどきれいなものはないぞ”と言われて」

村田「何、そのカッコいい会話」

久保田「それで『M-1』が終わった後に、その樅野さんから“やっと虹が見られるね”って連絡が来たときは、本当にうれしかったですね」

 優勝後は見える世界だけでなく、所属する事務所の待遇も一気に変化したよう。

久保田「よく吉本はギャラの安いブラック企業とか言われるけど、全然そんなことなかったです。優勝後は新幹線もグリーン車に変わったし、劇場の楽屋も大部屋から個室に。会社から最大の忖度を受けています(笑)

村田「スタッフの方々がみんなニコニコして近づいてきてくれるのがうれしいですね。今年はそれが継続できるように頑張ります!」

 ちなみに、ブレイクすると週刊誌からスキャンダルも狙われやすいけど、大丈夫?

久保田「僕の場合、人さし指で叩いたら埃が出る人間ですからね(キッパリ)」

村田「埃だらけやんっ!」

久保田そんな埃まみれのところに、記者が来れる勇気があるのかって話ですよ。だから記者の方、いつでもウエルカムですよ!

<プロフィール>
とろサーモン◎村田(ツッコミ)と久保田(ボケ)は地元・宮崎県の高校で出会い、’02年にコンビ結成。3月2日から大阪・よしもと西梅田劇場を皮切りに、全国6会場で『M-1ツアースペシャル』が開催される。