一方で、モトとともにスズメを飼っている妻にも話を聞くと“意外な事実”が発覚。
「実は、ふたりとも鳥が大嫌いだったんです! もともと、主人はさわれもしないし、見るのも嫌なくらいで。でも、保護したときは死にそうで、助けなきゃいけないということで助けました。
1時間半ごとに口を開けさせて、エサをあげなくちゃいけないのですが、当初はそれが怖くてできなかったんです」
今後もモトの意向に従うという妻だが、人が変わったようにスズメを可愛がる夫に驚いているという。
「本当に人が変わりました。鳥にさわれなかった人が毎日なでなでして。今はカラスやハトを見ても“生きてるんだな……”と自然に言っています。今までは、車にフンをひっかけられて“汚いな”って怒っていたくらいなのに。
しかも今では、“放してカラスに食べられちゃうくらいなら、自分で食べる”って言っていて、本当にビックリしちゃいました」
どうやら“チュンちゃん”との共同生活で、鳥への価値観が明らかに変わったようだ。しかし、前出の葉山さんは、野生の生き物を専門家以外が飼うことに疑問を呈する。
「知識や技術がない人が野鳥を飼うと、鳥にもよくありません。飼育して数年たつと、栄養過多でぶくぶくに太ったり、羽が抜けたり、関節の病気になるなどの障害が出てしまうことが多いからです。
野生の生き物は、野外で暮らして子孫を残すことがいちばんの幸せだと思うので、ケガをした生き物を保護し、飼育し続けることがいいことだとはいえないでしょう」
スズメの命をいちばんに考える彼は、今後どんな決断を下すのだろうか。