仲良し夫婦を襲った異変とは
現在の県営住宅から徒歩5分のところに以前、古い県営住宅が建っていた。そこで暮らしていた仲子夫妻を知っているという40代の女性は、
「15年くらいのお付き合いになります。ケンカをするような声を聞いたこともないし、旦那さんがいるときは出かけるのはいつも一緒でした。夫婦仲はよかったと思います。“孫の野球の応援に行くの”って話し、旦那さんの運転する車に乗って出かけて行ったのを覚えています」
と証言する。
仲子容疑者は、プラント関係の仕事で海外勤務が長く、
「年に数回、帰国するぐらいだった。中東のイランだかイラクだかに行っちょるって聞きました。5年ほど前に大腸がんを患ってね。手術したんだけど、その後もまた海外に行きよった。昨年11月に帰国して、また大腸がんの手術をしたんよ。それ以降は仕事を辞めて、ずっと家におった」(前出・70代女性)
長い間、不在だった仲子容疑者は啓世さんと一緒に暮らし始めるとすぐ、妻の異変に気づいた。その様子を最初に指摘したのは前出・70代の女性だった。
2016年5月末、現在の県営住宅に引っ越して間もなく、啓世さんを訪ねた際、女性は察知したという。
「家の中に消臭スプレーや洗剤など、同じものが何個もあったんです。数えたら、5、6品目で、全部で100個もあった。私も仕事で認知症の人を見るから、これは間違いなく認知症やと思い、週に1回は必ず来ていた娘さんに、お母さん認知症やないやろうかって告げた。
そしたら“そんなこと、わかっちょる、恥ずかしくて言えんかった”って話してね。病院にも連れていっとったみたいだけど」
啓世さんは、'15年ごろまで市内にある大企業の独身寮の食堂で働いていた。自己都合で退職したという。
「7年ほど働いてくださいました。遅刻や欠勤もなく、まじめに仕事をなされていましたよ。ただ、きょうは何時に来たのか? など物忘れが激しくなっていたんです。辞める理由として“腰を悪くしたから”と言っていましたが……」(食堂の運営会社の関係者)