今回の火災によって計画が変更になってしまうかもしれないが、加山は自然エネルギーのみで動く『エコシップ』の開発にも乗り出していた。

「エコシップは俺の夢。プランを出してはいるんだが、スピード化、軽量化をしたいので、設計をやり直しているところ。災害救助船という形をとるんだ。

 災害で陸路を絶たれたところに行って、1000食くらいの食料を供給したり、水は250トンくらい海水から浄化して作れる。1000人くらいがしばらく暮らしていける船だ。電源は太陽光。目指しているのは、完全なエコ生活ができる空間を作ること。避難場所にもなり、世界に対して意識改革の材料にしたいと思っているんだ

船の上で語った加山の「人生観」

「光進丸」デッキ上の加山
「光進丸」デッキ上の加山
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 船上では、船のことだけではなく、人生についても語ってくれた。

人間ってのは“思い”は叶うの。そのかわり明るい心で思わなければダメ。

 えげつないことを考えたり、儲けようとか、人を蹴っ飛ばしても自分が上にあがるという考えは絶対ダメ。

 純粋に、“音楽が好きなんだなぁ”と思っているとチャンスが訪れる。心のあり方ひとつだな。人間っていうのは絶対に全部つながっているんだよ

 取材を終え、記者が船を降りると、入れ替わるようにギターの音と歌声が力強く響いてきたのだった。

 加山には燃えてしまった相棒を歌った曲『光進丸』がある。2日の会見でその歌の今後について聞かれると、彼はこう答えた。

「僕は歌います。光進丸のためにもね」

 君といつまでも――。