「怒ると怖いところがあって、授業中に男子がふざけていて、アイツに突き飛ばされたんです。倒れそうになるほどで、そこまでやらなくていいんじゃないというぐらい。筆箱を壊された男子もいますよ。だけど、女子には変にやさしいところがあった……」
と中3の男子生徒。続けて、
「ほかの先生とはフツーに接しているみたいですが、保護者にはいい顔ばかりしているから、意外にウケがいい。そういうのが生徒にはわかっているから、男子も女子もみんな嫌っていましたよ」
と容赦なかった。
その先生とは、埼玉県富士見市立中学の技術教師A(32)。昨年6月4日午前0時42分ごろ、同県ふじみ野市の路上で20代女性に背後から近づき、身体を触るなどした。2日後、女性は埼玉県警東入間署に被害届を提出。
「同署が女性の目撃証言や防犯カメラの映像などで捜査を続けた結果、今年3月27日に強制わいせつの疑いで逮捕しました。Aも“あとをつけて身体を触った”と認めたためです」(捜査関係者)
犯行現場は、容疑者の自宅マンションから目と鼻の先にある。容疑者は学校までの約6・5キロを車で30分かけて通っていた。同校では3年生のクラス担任で、サッカー部の顧問でもあった。
3年生の男子部員は、
「サッカーはド下手だった。高校までは野球をやっていたみたいで、サッカー経験は大学の同好会と(家庭用ゲーム機の)Wii程度だからね。
自分でプレーして見せることなんて、まずない。練習には毎日出てきていたけど、ウルさくてウザかった。いなくなってよかったですよ」と笑う。
ここまで嫌われている先生はなかなかいないもの。
サッカー部の顧問は別の教師に交代したが、技術科の教師は補充されておらず、生徒は代わりに家庭科を習っているという。
「逮捕は卒業式が終わったあとで、学校が休みのときでしたから、生徒に直接的な影響はありませんでした。技術の授業については、生徒の不利益にならないように学校内の編成などで配慮しています」
と富士見市教育委員会は説明する。
事件について、さいたま地検は4月16日、Aの不起訴を発表。その理由は明らかにしていない。埼玉県教育委員会に懲戒処分の可否を問い合わせると、
「現在はまだ情報収集と事情聴取を進めている段階です。不起訴になったことは知っていますが、警察や司法の判断とは別に県として処分を検討していきます」
サッカーゲームとは異なり、都合よくリセットはできない。