セクハラの記録、狛江市の恥

 市役所の外にまで漏れ伝わっていた市長のセクハラ、パワハラ。市役所内のセクハラ行為を聞きつけた議員が今春、市に対し情報公開請求をしたことで事態は発覚した。

「黒塗りの文章が出てきました。セクハラの記録があり、1人の行為者から、複数の女性がセクハラを受けていると書かれていました」

 と、日本共産党の西村敦子市議。今年3月1日、議会の一般質問で取り上げた。

狛江市のセクハラ報告文書の一部
狛江市のセクハラ報告文書の一部
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狛江市のセクハラ報告書の一部
狛江市のセクハラ報告書の一部

 黒塗りの文章には「車内で手を握られた」「エレベーター内でお尻を触られた」「肩や胸も触られて困っている」などの記述が……。行為者の名は黒く塗られていたが、文字数はきっちり2文字。文章が書かれた当時、2文字で個人まで特定できる役職は「市長」しかなかった。

 議会で問題になり、メディアも報じると“セクハラ市長”は狛江市の恥として拡散。「高橋市長のセクハラ問題幕引き許さず、真相解明・再発防止へ」実行委員会のもとにも、

「こんな前時代的なことを市長がしていたことが恥ずかしい。セクハラを狛江市からなくしてほしい、という声も多く聞きました」(実行委員長の周東三和子さん)。74歳の女性は「毎日のように新聞に(セクハラ問題が)出て、みっともない」。42歳の消防団員は「とんでもないことだ」。

 そんな意見の一方で、「市長は誰とでも仲よくしようとしていましたので、サービス精神が旺盛になりすぎてしまったのでは」(81歳男性)、「大げさな感じがします。受け取り方の問題じゃないかな」(70代男性)といった声があるのも事実。セクハラという新しい概念を心底、理解できない市長のようなタイプがいなくなるには時間がかかる。

 当の市長に「自分の娘さんやご家族が上司からセクハラを受けたら憤りを覚えませんか」と質問を投げかけてみた。答えは「実体験はなく仮定の質問にはお答えできません」。

 仮定を想像できない人間は相手の痛みを想像できない。新しい考え方が理解できない人は退場するしかない。