「セリフを覚えなきゃいけないというプレッシャーもないから、その日の撮影が終わったら家に帰って寝るだけ。いつもすごくリラックスできていたと思います」
ほぼ“素”でいられるような環境を作り上げたことで、父親役の阿部とも自然なかけ合いができたという。
「阿部さんとの言い争いをするシーンは、すべてアドリブでやれたんです」
言いたいことをそのまま口にできた彼女の自然体の演技に、是枝も喜んでいたそう。
「監督はカメラが止まっても全然カットをかけないんです。音だけ聞いて楽しんでる(笑)」
ドラマ終了後も、共演した阿部と西田敏行とは家族のような関係がいまだに続いているようだ。
「阿部さんと西田さんは、私が出演した作品を見てくださって、連絡をいただいたりします。お仕事を頑張ろうって、励みになっています」
“合格祝いは「焼肉がいい(笑)」
数か月前に高校の合格が決まったときは、是枝から父親のようなメッセージが届いた。
「“ちゃんと勉強しろよ!”と言われました(笑)。それで監督から今度、合格のお祝いに出かけようと言っていただけたので、焼き肉がいいとリクエストしています(笑)」
是枝とプライベートで話すときはタメ口になるほど、親密な関係を築いている。
「パルムドールを受賞された監督には“お疲れさまでした”って、まずは伝えたいです。テレビで監督を見ていて、すごく疲れた顔をしてるなって」
父親を気遣う娘─。2人は、本物の親子のような絆で結ばれているのかもしれない。
〈PROFILE〉
蒔田彩珠
2002年生まれ。映画『友罪』公開中。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』は7月14日、全国ロードショー