双方が納得感を抱けるように
だが、きちんとパートナーに向き合ってその合理性を伝えることができれば、「新しい結婚の形を作ることができるかもしれない」と白川さん。その指針となるのが、ドラマ『逃げ恥』の平匡と、新垣結衣が演じたみくりの生活だ。
「ドラマではみくりが、家事をはじめとした無償労働は、仕事で稼いできた有償労働と同等に扱われるべきと、家事に対する労働力や家計費を“見える化”し、対価を算出しました。
夫婦という関係は共同経営責任者であり、同等の議決権を持つという新しい結婚の形です。週1回は会議を開いて、お互いが安心感を覚えるために問題と向き合い、合意を得る。家庭に対する不満や不安を予防するために“見える化”すること、納得感は大切です」
希望する年収に満たなくても、夫が家事時間を増やすなど問題解決ができる関係を作れたら、“結婚したいけど不安”という人の背中を押す可能性は高い。
「結婚相談所などは、年収や趣味の項目以外に、育児や家事に対する理解度を測ることができる項目を増やすべきでしょう」
そして、行政は“男性の育休の義務化”を真剣に考えなければいけないと白河さんは続ける。
「既存の結婚観が通用しない時代ですから、新しい結婚の形に対応できるシステムを作る必要があります。三重県では県庁の職員さんが、子どもが生まれる際は、男性が2年間の育児参画計画書を提出する決まりがあります。
職場が理解をし、双方にとって不都合がないようにあらかじめ把握する。そして、男性が計画書を作ることで、“パパも働き方を変えて子育てする”という意識も生まれるそうです。新しい結婚の形を社会が寛容に受け入れていくことも、婚姻率の向上には不可欠でしょう」
〈PROFILE〉
白河桃子さん
ジャーナリスト・作家。慶応義塾大学文学部卒業後、住友商事などを経て現職。'08年に発表した、中央大学教授山田昌弘氏との共著『「婚活」時代』(ディスカバリー・トゥエンティーワン)がベストセラーに。以後、数々のメディアで活躍。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、相模女子大学客員教授なども務める。