結婚の多様化、離れて暮らす家族との距離
何がって、平成の世における「結婚形式の多様性」である。テレビドラマでは、古くから週末婚や別居婚、最近では契約結婚も同性婚も描かれてきた。愛のない結婚、性的交渉が一切ない結婚、年の差婚に偽装結婚。いまさら驚くこともなくなった。もうありとあらゆる結婚のスタイルがあるからだ。
金のニオイしかしない結婚も、公的な手続きをしていれば立派な結婚だ。が、親に一切知らせない結婚というのは、ちょっとだけ感心した。その徹底したドライさ、というか合理的な関係に。
もはや、愛だの性格だの趣味だの顔だの身体の相性だのと、結婚相手にこだわること自体が馬鹿馬鹿しくなるほど、清々しい決断であり、選択である。若いってすごいよね。
でも、二十歳(はたち)そこそこの娘がいる親たちは、戦々恐々としたのではないか。もし自分の娘が大富豪の老人と、自分に内緒で結婚していたら……。さらには事件となって、連日ワイドショーで好奇の目にさらされるとしたら……。
ご家族で話し合ったほうがいいと思うんだよね、これ。「月100万円もらえるとしたら、どんな相手でも結婚するかどうか」を。
さらには、離れて暮らす娘が妙に高級品を所有し始めて、どうやら羽振りのいい暮らしをしているようだとわかったら、どうするか。二十歳過ぎたら大人なので、基本的には子供の自由だし、突き放してもいい。
でも、あまりに私生活が謎めいている場合は介入すべきかどうか。庶民には関係のない話と捨て置かず、「もし自分の家族が関係していたら」と想像を巡らせてみるといいかもしれない。
殺人事件ともなると、伴侶が亡くなったことで最大の利益を得る人物(配偶者)が疑われるのは世の常だ。資産50億円ともなれば、否応なしに世の中は色めき立つし、容疑者が認定されない限り、モヤモヤするわけで。
このモヤモヤはまだしばらく続くだろう。テレビ的にも、ネットニュースも大助かり。紀州のドン・ファンって呼称自体がキャッチーな見出しだもの。
もしかしたら一番の利益を得てほくそえんでいるのは、ドン・ファンの自伝本を出した講談社かもしれない。文庫本で手を出しやすい価格のせいか、アマゾンでもランキング1位だってよ! 職業柄、つい「この本のゴーストライターはちゃんと印税契約をしていたのかな……」と考えてしまったわ。