年金制度はさらなる改悪の可能性大
「会社員が加入する厚生年金の保険料率は年々アップしてきましたが、昨年9月を最後に引き上げが終了しました。厚生年金保険料は、収入に対してひとまず18・3%で固定されます。国民年金の保険料についても、すでに昨年4月で引き上げが終了しています。
来年から月額100円アップしますが、これは自営業者やフリーランスが産前産後の際、保険料が免除になるためのもので、これまでの値上げとは種類が違います」
だが、安心するのはまだ早い。
「少子化はどうにも止まらず、労働者人口は減り、高齢化は加速するばかり。そんななか、世代間扶養の仕組みを維持しようだなんて、どだい無理な話なのです。今後、年金制度はさらなる改悪を余儀なくされることでしょう。次の年金制度改革で、また負担増の話が出るかもしれません」
少子高齢化の進行とともに、年金給付も引き下げが続いてきた。そのため、年金の受給額に世代間格差が生じている。
「団塊の世代は“年金逃げ切り世代”などと現役世代からうらやましがられていますが、実はそうとも言い切れません。人数の多さゆえに、給付引き下げの対象になっています。
1985年の年金制度改正では、生年月日に応じた給付水準の引き下げを実施。昭和21年4月2日以降に生まれた人の年金額は、大正15年4月1日以前に生まれた人と比べると、同様に働いていたとしても約30%も引き下げられています」
もちろん、その後の世代も、あの手この手で年金が減らされていく。
「平成6年、平成12年の年金制度改正で、老齢厚生年金の受給開始が60歳から65歳に段階的に遅らされました。60歳からもらえた世代と比べると、65歳からもらう世代(男性は昭和36年4月2日以降生まれ、女性は昭和41年4月2日以降生まれ)は、5年分の年金をもらい損ねることになります。
その額、モデルケースでは計1200万円! もらえると思っていたものがもらえなくなるわけですから、加入者にとっては詐欺みたいな話です」
若ければ若いほど損をする年金制度、なんとか正す方法はないのだろうか。