婚活ライターをしながら、仲人としてもお見合い現場に携わる筆者が、目の当たりにした男女の婚活事情を、様々なテーマ別に考えてゆきます。今回は、『生理的に合う、合わないって本当にあるのか?』です。
「話は普通にできるけど、彼とは手がつなげない」
先日、「婚活相談をしたい」という問い合わせをいただきました。佐藤美紗子さん(31歳、仮名)は、婚活を続けて1年半になるというのですが、「お見合いを続けていくうちに、結婚相手を選ぶ基準がわからなくなってきた」というのです。
「今まで27人の方とお見合いをしました。最初の1年は、ハイスペックな男性を月に4人紹介してくれる相談所だったんですが、紹介された4人に“お見合い希望”を出しても、お相手からお断りされることが多くて、月に1人、お見合いできるかできないかで1年が過ぎました」
そこで、大手相談所に入会し直して、サイトを通じてお相手からお申し込みがきたり、自分でもお申し込みをかけていったりする婚活方法に切り替えました。
「それでお見合いはできるようになったんです。でも、お会いする相手と、どうも会話が弾まない。
ひとつ質問してくるとひとつ答えが返ってくるような一問一答形式の人とか、自分の話ばかりをガーッとする人とか、会話していても内容が噛み合わない人とか。なんだか、そんな人たちばかりで、交際に入っても1、2度食事をすると“交際終了”になっていました」
そんな中、普通に楽しく会話ができて、大手のメーカーに勤める男性、服部正一さん(36歳、仮名)とお見合いをし、交際に入ってから、すでに5回ほどデートをしました。
「いい人だとは思うんです。でも、手をつないだり、その先々のことができたりするのかな? って考えてしまう。ただ彼のほうも、手をつないだりしてこないので、二人の距離はまったく縮まらないんですけど」
それを会社で結婚している女の先輩に相談したそうです。すると、こう言われました。
「二人で少し遠出をしてみたら? 日帰りできる場所を選んで山歩きとかしたら、触れ合う機会もできるだろうし。彼に触れた時に美紗ちゃんがどう感じるかが大事じゃない? 人間だから生理的に合う、合わないってあると思うしね」
それで、服部さんとの遠出をシュミレーションしてみたというのです。
《遠出だと、箱根とかかな。あ、でも、箱根だと途中で一緒にいるのが辛くなったら引き返すのが大変かもしれない。小田原とか逗子あたりならいいかしら。あと、もしも手をつないだときに心地よくなかったら、どうしよう。その手をどう離そう……》
そう思いを巡らせた時に、ハッと気づきました。
《やだ、私、服部さんとの遠出を考えたら、ワクワクするどころか、どこかで嫌がっている》
美紗子さんは、私に言いました。
「頭では、いい人だとわかっている。結婚するには条件も悪くない。でも、彼に触れたいと思わない。これって、どうなんでしょうか?」