「生理的に合わないとか、言ってる年じゃないでしょ」
美紗子さんと同じような相談を、私の会員の佐久間香織さん(36歳、仮名)にもされたことがあります。彼女は、母親の知人が紹介してくれた男性とお見合いをし、その後おつきあいに入りました。
「誰もが知っている大手企業に勤めていて、年収も800万円ある。とても穏やかな人で、人間的には申し分がない。でも、どうしても男性としての魅力を感じないんです。
初めて手をつながれた時、それがとても嫌で、タイミングを見てなんとか私から手を離せないか、そればかりを考えていました。それである時から、デートになると手を繋がれないように、彼側にバックを持ってそのバックをギュッと握って手を塞いでいる自分がいたんですね。いい人なのはわかっていても、生理的に受け付けなかった」
その話を母親にすると、母親は言ったそうです。
「生理的に合わないとか言ってる場合じゃないでしょ。あなたはいくつだと思っているの? お人柄が良かったら、それ以上何を望むの? そんなの一緒に生活しているうちに慣れるわよ」
香織さんは、私に言いました。
「生理的に合わないと思っている男性も、一緒に暮らしていれば、受け入れられるようになるんですか? それって慣れの問題ですか?」
生理的に合う、合わないの正体とは
“お人柄は間違いなく良いのに、男性としては好きになれない”“生理的に合わない”と言うのは、お預かりしている他の会員たちからも、本当によく聞く言葉です。
“生理的に合う、合わない” その正体がなんなのか。これは、理屈ではなく感覚、感情の問題なので、それを明確に説明できる人はまずいないでしょう。またA子さんがB男さんを生理的に合わないと思っても、C子さんはB男さんを受け入れて好きになるかもしれない。
実際にあった話ですが、会員同士のお見合いで、女性が男性を、「生理的に合わない」とお断りしたのですが、その男性は3か月後にお見合いをした女性と大恋愛をし、成婚退会をしていきました。
そんなことも見てきているので、「いい人なのはわかるけれど、男性として好きになれるかどうかわからない」と言われた時には、私はいつもこうアドバイスしています。
「自問自答した時に、その方に会いに行くのが“苦しい”とか“辛い”と思うのであれば、交際は終了にしましょう。我慢をしておつきあいをしていると、それが婚活疲れにつながっていきますよ」
いったん婚活疲れを起こしてしまうと、もうどんな人とお見合いをしても、その人の良さを見つけることができなくなってしまいます。
人間というのは、マインド設定を肯定的にしているか、否定的にしているかで、同じ景色を見てもまったく違うものに見えてしまいますからね。