プロとしてのこだわり
プロとしてこれだけは譲れない、というこだわりも。
「収録中に生けた花の花びらが落ちるとか、重なり合っていた花が動いて形が崩れるといったことがあれば、私の責任問題になる、という気概を持って毎回仕事と向き合います。
やはり『徹子の部屋』は特別で、番組出演を目標にしてきたと緊張しながらお越しになるゲストの方も少なくありません。私もそれに見合う仕事をしてゲストをお迎えしないといけません」
もちろん、これまで42年間、花びら1枚落ちたことはないという。そんな石橋さんの思いが通じるゲストも多く、直接、感謝の言葉を伝えられることも多々ある。特に思い出深いのが、大スターの高倉健さん。
「高倉さんがお好きな花が“都忘れ”だと聞き、千葉県の房総まで調達に行きました。
収録後、花束にしてお渡ししたところ、高倉さんは1本抜いて、“ありがとう”と言いながら差し出してくださったんです。さらにその後、《あの時はありがとう》と手紙まで……。手紙は今でも大切にしまっています」
“花は第二のゲストです”
消えもの係の開拓者でもある石橋さんにはお手本がなく師匠もいない。苦労はもちろん、不安がなかったわけではないはずだ。
「何かのインタビューで徹子さんが“花は第二のゲストです”とおっしゃったと聞いて、私の仕事にそれほどの価値を見いだしてくださっていることに胸が震えるほどの感動を覚えました。徹子さんのこの言葉が自分の仕事に自信を持てた大きな転機となったのは間違いありません」