「そういう空気を作っていたのかもしれませんが、両親の活動は結果が出ているので、そこは尊重してほしい。みんなが意見を言えるようになればよりいいとは思いますし、今後、作っていこうと目指しますけど、両親のやることの妨げになることはどうなのかな、と。
体操界にとって大事な存在なのに、今回の件で、永久追放とか、そういう話が出るのは悲しくなります」
すべては第三者委員会によるパワハラ調査に委ねられている。問題となった暴力的な指導法についても聞いてみた。
「大昔にはそういう部分があったと思います。でも、速見コーチのような度を越えた暴力はなかった。今のコーチはみんな暴力がダメということは認識していますよ。スポーツの目的は、自分の限界に挑戦する、人格を育てること。本質を考えていけば、暴力はなくなるんです」
9月6日放送の『直撃! シンソウ坂上』(フジテレビ系)で、光男氏が「直也を後継者にしたい」と発言した。本人にその気はあるのだろうか?
「リオ五輪から女子体操の指導を始めたばかりで、まだ経験が浅いんです。だから、まだ協会の仕事をやるつもりはないです。母が“協会の仕事をやってほしい”と言っているとチラホラ聞きますけど、僕は体操の技術にしか興味がないので。そうすると協会の仕事は難しいのかな、と」
指導者として、今回いちばんの被害者である宮川選手のことはどう思っているのか。
「追い詰めてしまった周りの責任もあるので、切なくなります。大人たちがああいう状態にならないようにできたはず。彼女がこれからも速見コーチとやりたいというのであれば、それがいちばんいい。
東京五輪まではもう2年しかないですから。彼が反省して指導の仕方も改善して、理想のコーチと選手の関係になることが早いのかな。本当は違うコーチにするべきだとは思うんですが、本人の“やりたい”がいちばん。東京五輪での活躍がすべてではない部分もあるんですけど……」
塚原夫妻が協会の定年まであと1年というときに起きたこの騒動に、もどかしさを感じている直也氏。
第三者委員会の調査結果はいかに─。