ユミコがバラまいている価値観

 20代の女性の「結婚できない」自虐は、ほとんどの女性が一度は陥る自意識過剰ですから、罪がない。しかし、国民的アナウンサー・ユミコの自虐は「看板アナウンサーになるほどに仕事ができても、結婚をしていない女性は一人前でない」という価値観をバラまいていることにつながっていきます。

 なんといってもユミコは高キャリアですから、自虐することで「謙虚な人」と思われて自分の株を上げることができます。しかし、ユミコの自虐は一般の独身女性を「すごいキャリアがあるわけでもないのに、独身なのは恥ずかしい」と間接的に貶(おとし)めていることに気づいていないのです。自虐が結果的に自分より弱い立場の誰かを傷つけるかもしれないと想像できないのだとしたら、無意識なだけにタチの悪いヤバさだと思います。

 フリーとなったユミコは、10月から『NEWS ZERO』(日本テレビ系)のキャスターに就任します。そのお披露目会見でも、ユミコは「結婚できない自虐」全開。「嫁に出してくれたNHKの方にも立派にやってるなと言っていただけるように」とコメント。この日着ていた白い衣装を「中途半端なウェディングドレスみたい」と結婚をこれでもかと絡めてくる。記者会見も目立って何ぼですから、意図的にネットニュースになりそうなワードを選んでいるのでしょう。

 しかし、問題だったのは「置屋の女将」発言です。同番組には若い女性のキャスターたちも出演しますが、ユミコは「完全にキラキラする人たちと、置屋の女将みたいな感じ。そういう構図になるんだろうなと思っていました」と発言。

 置屋とは芸者や遊女を抱えている家のことを指します。人気商売を芸者さんになぞらえることはよくあり、オファーが多いことを「お座敷がかかる」と言ったりします。テレビに出る人は究極の人気商売ですから、そういう意味で使ったのだと思いますが、このたとえは不適切ではないでしょうか。