16日には自民党の小泉進次郎氏が佐喜真氏の応援演説に駆けつけ、女性有権者から「カッコいい~!」などと黄色い声援を受けた。しかし、はっきりモノを言う進次郎氏も、「辺野古の『へ』の字も言わず、生活向上の話題ばかりだった」(那覇市の20代女性)という。

埋め立てられたらもとの海には戻らない

 安倍政権は昨年4月、辺野古沖の新基地予定地で、反対派住民の抵抗を無視して埋め立て護岸工事に着工。現在は沿岸部からのびるコンクリート・ブロックの護岸で一部の海域は囲われ、その中に土砂を投入する本格的な埋め立て工事が目前に迫る。徹底抗戦してきた翁長氏は亡くなるわずか12日前、「承認撤回」という最後の切り札をきった。

 移設に反対する名護市議会の東恩納琢磨市議は、

「完全に埋め立てられると元の状態の海に戻すことはできません。ただし土砂が入っていない今ならまだ間に合います。工事の完成度は4%ほどですし、元に近い海に戻せる可能性があります」

 と説明する。

 辺野古の海はコバルトブルーに輝き、小さな魚が群れをなして泳いでいた。沖合の白いコンクリート・ブロック壁が痛々しい。ここは国の天然記念物で絶滅危惧種のジュゴンのすみかでもある。

佐喜真淳氏
佐喜真淳氏

 世界約100か国で活動する環境保護団体、WWFジャパンの権田雅之氏は、

辺野古沖や大浦湾周辺は手つかずの自然が残り、貝や魚などの固有種や希少な生物が数多く生息し、新種も発見されています。ジュゴンは匂いや音、人の気配に敏感です。国は生態調査のためヘリやソナーを使ったり、ブイの打ち込みなどを行いましたが、ジュゴンはそれさえも嫌って離れてしまった可能性がある」

 と嘆く。