前出・大谷氏も、
「沖縄経済のボトムアップをしていく必要がある」
と経済を重視する。
「例えば観光。ビザを取って、宿泊なしで他県に移動する海外の観光客も少なくない。宿泊したくなる宿泊施設、滞在したくなる観光施設を整備してほしい。そして、空港運賃も下げてほしい。そうすれば成田空港や羽田空港、関西国際空港などを経由して世界中からお客さんが来ます」
玉城知事が経済自立のために何をするかは未知数だが、前出・保守政党関係者は、
「政治や経済の分野で引っ張っていける人が知事を支えていく必要があります」
と訴え、そのために、
5【ブレーンの配置】
「沖縄の行く末を心配する人たちを集めて審議会を作り、これからの“沖縄像”を真剣に考え、政策的に沖縄をどう持っていくべきか考えること。与党も野党も関係ない。さまざまな人を集めること。政府が恐れる人たちをブレーンとして布陣に加えることです」
カギになるのは、選挙で機能した「オール沖縄」が維持できるかどうか。前出・前泊教授の訴えは、
6【オール沖縄勢力の信頼とチームワークを維持】
「内紛を起こさないで、関係をうまく維持できるか。相乗り所帯ですから、意見の対立でゴタゴタする。一枚岩であり続けられるかがカギ」
さらに組織がうまく機能し、基地問題に対峙するためには、
7【手の内を明かさない】
前出・前泊教授の主張だ。
理由は、翁長県政が安倍政権に弱体化された際に感じたことだ。
「こんな手がある、あんな手もあると、メディアに答えた結果、政権に先回りされてつぶされた。大失敗でした」
と翁長前知事のミスを指摘。前出・前泊教授は続ける。
「国との情報戦になったら負けるんです。策は、しかるべき時が来るまでは出さない、言わないことです」
そして最終的には、
8【翁長氏から学ぶこと】
と前出・保守政党関係者が指摘する。その真意は?
「翁長氏は言っていました。“保守・革新関係なく、沖縄の人たちの知恵を集めて、沖縄の問題をみんなで心配して片づけていこうや”と。その問題点の延長にあるのが基地問題です。基地問題は、保守と革新が対立している限り解決しません。政府に頼ってもうまくはいきません。
どんな沖縄にしたいか、他の都道府県と違う新型の沖縄政策が作れるのかが大切です」
県知事が代わろうが、安倍政権の辺野古移転の強硬姿勢に、今のところブレはない。
「沖縄は民意を示してきたのに、国は踏みつぶしてきた」
と前出・前泊教授。そして、
「辺野古NOを実現できるよう、揺さぶりをかけられても屈しないような政治が行われることを願っています」
辺野古をめぐっては、県議会で県民投票条例案が審議されている。10月中旬に可決されれば、6か月以内に実施される。前出・大谷氏は、
「県民投票は法的な効力はありませんが、結果次第では政府に圧力をかけられるという意義があります」
辺野古の海を、自分たちの代で食いつぶすことが許されるのか。
翁長雄志前知事が命を賭して実施した“埋め立て撤回”の決定は、重い。