抱きしめたくなったくらい(笑)
渡辺役はミュージカル界の大先輩、鹿賀丈史さんと市村正親さん(新納さんが組むのは鹿賀さん)。このおふたりと新納さんとは『ラ・カージュ・オ・フォール』という作品の共演者として、20年近く親交がある。
「僕はもちろん、鹿賀さんが素敵なことは知っていましたよ。でも、こんなに新しい魅力を発見できるなんて思ってもみなかった。初めて読み合わせをしたとき終わった瞬間にムギューって抱きしめたくなったくらい(笑)。
“鹿賀さん、ものすごく素敵だってご自分で気づいてます?”と言いました。市村さんも、今まで見たことのなかったような、スーパーかわいらしい表情をされていて。
あの年齢で、おふたりがこの役に出会われたこと、うらやましいと思うんですよ。きっと当たり役になりますから」
『真田丸』の秀次も舞台経験あってこそ
「世界に発信できる日本オリジナルのミュージカルを」という目標をもっての初演だけに、今は“産みの苦しみ”の真っ最中。
「ビックリするほど、日々、台本が変わっているんですよ! 休みの日を1日つぶして、ガッツリ変更された台本を覚えていったことがあるんです。
朝から晩まで頑張ったのに、翌朝行ったら“これ新しい台本でーす”って渡されて(笑)。“僕の休みを返せー!”って叫びそうになりました(笑)」
新納さんといえば、忘れられないのが『真田丸』の豊臣秀次役。脚本の三谷幸喜さんが新納さんにあてて書いたこの役は視聴者に愛され、「秀次ロス」まで引き起こした。
「まさかそんなに反響を呼ぶとは思ってもいませんでした。最初は2話くらいかも、と言われていましたし。でも15話も出していただけて、感謝ですね。
20代のころは映像の仕事を待ってスケジュールを空けていた時期もあったんですが30代で映像をあきらめ“僕は舞台人だ”と自覚するようになったんです。でも40代にしてこの役に出会えてよかった。
これを評価していただけたのも、舞台をやってきたからこそ。若いころにはできなかった芝居ができたんじゃないかと思っています」