いきなり死んだときのことを考えて、あれこれを書き記せと言われても難しい。
財前は財産に関してなどを記したエンディングノートを作る前に、“未来への年表”を作ったという。
「ライフプランの入った年表ですね。年表の中に、《自分》《両親》《息子》のそれぞれ年齢も入れる。自分が何歳のとき、親は何歳で、息子は何歳。傘寿や米寿の親のお祝いがいつで、息子が中学生になるのがこのタイミングで、高校生になるのはこのときとか、ひと目でわかるようなものです。
これを最初に作ると、人生計画が立てられる。このときはお金がかかりそう、ということもわかるからマネープランもできる。自分の年齢と子どもの年齢を照らし合わせて、ここまできたら自分でやって、とか(笑)」
家族とのコミュニケーションツールにも
また、年表やノートを作ることで、家族のつながりを再確認できるという。
「いまの時代、家族でもコミュニケーション不足だと思うんですよ。すごくもったいない。今、生きているうちにもっとコミュニケーションをとってほしい。家族がちゃんとコミュニケーションがとれていれば、基本的に揉めることはないじゃないですか。
だから、コミュニケーションをとるツールとしてエンディングノートを使ってほしい。今を生きているということがすごく大事ですから。エンディングノートも、“エンディング”ではなく“これからを幸せに生きていくためのノート”としてすすめていきたいですね」
エンディングノートも含め、終活をしたことによって、自身の変化も感じた。
「自分の生まれた“家”を見つめ直すことができました。バブル世代なので、それまでは欲しいものや興味が“外”にあった。でも、終活の過程で自分の家をよく見たとき、家の中にいいものがいっぱいあることに気づいた。代々受け継がれている家庭の味だったり、両親の愛情、ご先祖さまが残してくれたものとか。
最近、母の着物を集めて広げてみたんです。保管してあった箱には、祖母のモンペだったり半纏なんかも入っていて。そこにあった着物や切れ端でスカートを作ったんです。着物を出したときの母はすごくうれしそうで……。母とおばあちゃんのもので作ったそのスカートは、ずっと大事にしていきたいと思っています」
ざいぜん・なおみ ◎'66年1月10日生まれ。代表作に『お金がない!』『お水の花道』(ともにフジテレビ系)。'16年に終活ライフケアプランナーを取得