いいものに触れると成長が早い気がする
20代後半になって、俳優としても人としても変化してきたという。
「自分のやりたいことに対して意見を通そうとするっていうスタンスが、より濃くなったとは思います。それはただのわがままとかではなくて、どうすればお互いが寄り添った形でいい方向に持っていけるだろうかってことを、怖がらずに話せるようになったと思う。スタッフともよく話し合いをするようになりました」
作品選びでも自身の考えが反映されている。
「'13年にブロードウェイで『キンキー・ブーツ』を見させていただき、“日本で公演するようなチャンスがあるんだったら、オーディションを受けてローラ役をぜひ勝ち取りたいって思ったんです。そこから本当に経験することができて、素晴らしい力を持った作品なので上演したときのお客様の反応がすこぶるよかったから忘れられないですね」
もうひとつ転機となった作品は『地獄のオルフェウス』。
「もっと自分はできそうだと、勇気をくれた作品ではあります。もっと貪欲に芝居を突き詰めればより多くの人の心を動かせるんだと板の上で感じましたし。それはフィリップもそうですけど、大竹しのぶさんが引き出してくれたのがすごく大きくあったと思います。やっぱりいいものに触れると成長が早い気がする。僕が成長が早いって言ってるわけじゃないけど(笑)、いいものをもらってる気がします」
来年4月にはファン待望の『キンキー・ブーツ』再演も決定している。
「初演が幕を閉じた瞬間から、再演するつもりでいましたからね。その思いはずっと心にあったので、レベルの上がった個人のポテンシャルを披露できるように頑張っていくつもりですし、もうすでに自信はあります。だって引き続き歌は練習してますもん(笑)。その前に、まずは『罪と罰』の準備にかからないと」
俳優・三浦春馬にとって舞台とは?
「なんでしょうね……。変なふうに聞こえるかもしれないですけど、舞台に立つと『罪と罰』の主人公と同じように特別な自分がいるっていうか、うまく言い表せない種類のエネルギーがどこからかあふれてくる。普段生活しているときのエネルギーが80パーセントだとしたら、その倍以上のものを、あの2時間~3時間でだしながらいる感覚って、とても気持ちがいいんですよ。それを思うとワクワクする」
<作品情報>
Bunkamura30周年記念
シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.5
『罪と罰』
原作はロシアの文豪ドストエフスキーの傑作長編小説。舞台は帝政ロシアの首都、夏のサンクトペテルブルク。頭脳明晰な貧乏青年ラスコリニコフ(三浦春馬)は、自分が「特別な人間」として、「人類が救われ、その行為が必要ならば、法を犯す権利がある」という独自の理論を持っていた。そして殺人を犯したラスコリニコフの“正義”とは、救いとは……。人間回復への強烈な願望を訴えたヒューマニズム大作。共演は大島優子、勝村政信、麻実れい ほか。
東京公演:2019年1月9日~2月1日@Bunkamura シアターコクーン
大阪公演:2月9日~2月17日@森ノ宮ピロティホール
【公式HP】http://www.bunkamura.co.jp
<プロフィール>
みうら・はるま◎1990年4月5日、茨城県出身。12月28日より映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公開。ミュージカル『キンキー・ブーツ』(東京公演:2019年4月16日~5月12日@東急シアターオーブ/大阪公演:5月19日~5月28日@オリックス劇場)が待望の再演決定。『世界はほしいモノにあふれてる〜旅するバイヤー 極上リスト〜』(NHK総合木曜22時45分~)にレギュラー出演中。
<取材・文/井ノ口裕子>