そして生まれたのが、『DOCTORS』シリーズの名物キャラ“卓ちゃん”だ。

「当初はシリアスな役を想定していたのですが、高嶋さんが考えて役づくりしてきたのが“卓ちゃん”。“んんんんっ!”と唸る仕草や、表情も何パターンも用意してきて、“いいものを使って”と(笑)」(ドラマ制作スタッフ)

 表情で魅せるといえば、歌舞伎役者の顔も持つ香川照之。『半沢直樹』で、堺雅人と対峙した“大和田常務”は視聴者を引き込んだ。

「憎たらしいほどの“顔芸”はお見事でした。香川さんの転機、というよりも以降の『日曜劇場』は、やたらと顔芸俳優が目立つように(笑)。香川さんが開拓した芸です」(スポーツ紙記者)

いつの間にか“クズ”になっていたアノ俳優

 今回の『下町ロケット』でいえば安田顕。ドラマを盛り上げる欠かせない存在だ。

 絶対的な存在、SMAPのメンバーだった稲垣吾郎は大きくイメージを変えた。

「『十三人の刺客』と、ドラマ『流れ星』('10年フジ系)で演じた悪役が鮮烈な印象を与えました。それまでSMAPは“全員主演じゃなければいけない”みたいな枷がありましたが、そこからうまくはずれた稲垣さんは俳優としての幅が広がり、おもしろい存在になりましたね」(成馬氏)

 もとは『ちゅらさん』('01年NHK)や『白夜行』('06年TBS系)のように好青年イメージで売っていた山田孝之は、いつしか“カメレオン俳優”と呼ばれるように。

「もともと、いろいろな役をやりたかったのでしょう。演技を磨いてキャリアを積み、自ら率先して変な役を演じたことで“何でもできる”俳優像をつくっていったのです。山田さんの親友で、かつてイケメン俳優枠だった小栗旬さんも、同様に壁を壊したひとりですね」(芸能プロ関係者)

 NHK大河ドラマ『西郷どん』で熱演中の鈴木亮平は、小栗旬に見いだされたひとりだそう。彼の転機となった『HK 変態仮面』。

「もとは小栗さんが“映画にしたい”という話から、抜擢されたのが鈴木さんだといいます。見事に役づくりで体重や体形を自由に変えられる肉体派に変身しました。実は鈴木さん、勝地涼さん、そして綾野剛さんらは映画『シュアリー・サムデイ』('10年)で監督を務めた小栗さんがピックアップした俳優。今では全員が主演級になっています」(同・芸能プロ関係者)

 山田や小栗と同年代の藤原竜也も、いつの間にやら“クズ”になった。

「映画『デスノート』('06年)での役もわりと“クズ”でしたが、カリスマ性のある悪役でした。そんなクズキャラを『カイジ』で完成させたという印象です。もともと蜷川幸雄さんの舞台で見いだされた演技派、実力派俳優。本来はドラマや映画に出るタイプではなく、また主役というよりも悪役のほうが光る人なのだと思います」(成馬氏)

 10月の映画『億男』では怪しい教祖を演じている藤原。これが真骨頂なのかも!?