実は「絶滅危惧種」指定 動物園が紡ぐドラマ

 双子もかわいいけれども、“お兄ちゃん、お姉ちゃん”が暮らすレッサーパンダ館もスゴいんです!

 レッサーパンダは、ユキヒョウやテンなどの天敵から身を守る習性があるため、基本的に樹木や竹の上など高いところで生活する。同園は、高い塔や樹木、“あずまや”などを設置することで立体的な生活環境を作り上げ、彼らの自然における行動生態展示を実現しているのだ。

身体が小さくコロコロしているお兄ちゃんはおとなしめ
身体が小さくコロコロしているお兄ちゃんはおとなしめ
【写真】可愛すぎて困っちゃう!! 赤ちゃんレッサーパンダ&現在の風太の様子

 屋外のほか空調が調節された屋内展示場も展開されている。縦横無尽に駆け回る成体のレッサーパンダを間近で、またさまざまな角度から楽しむことができるあたりは、さすがはレッサーパンダの聖地といったところ。が、同園が“聖地”と呼ばれるのにふさわしい所以(ゆえん)がもうひとつある。

兄よりひと回り大きい妹は活発でやんちゃ。人間にも慣れている様子
兄よりひと回り大きい妹は活発でやんちゃ。人間にも慣れている様子

 実は、野生のレッサーパンダの生息数は約2500~1万頭と言われ、絶滅危惧種に指定されていることはあまり知られていない。現在、日本の動物園では約280頭が飼育されているのだが、そのすべてのレッサーパンダの血統管理、繁殖計画を担っているのが日本平動物園なのだ。

 同園では、6年連続で赤ちゃんを誕生させるのに成功し、また双子は実に3年ぶり。レッサーパンダを絶滅の危機から救う、日本平動物園の努力にも注目して園内を散策すると、単に来園者を楽しませるだけの施設ではないことを、しみじみと感じるはず。

 繁殖に成功すれば当然、頭数は増えていく。「希望する動物園があれば、繁殖目的で他動物園に飼育をしてもらう形になります」と平田さんが話すように、“日本平動物園生まれ、○○動物園育ち”というケースは珍しくない。