さらに、今回M-1王者になったことで、今後は追い風になる可能性も高いと前出の放送作家は続ける。
「上沼さんへの暴言騒動があったばかりに、逆にグランプリなのに注目されないコンビだと、多くの人に認識されました。大会そのものはものすごく話題になったわけですから、そこは得したと考えることはできます」
そんな霜降り明星の笑いのスタイルについて、「マーケティングに近い手法を取り入れている」と言う。
「ライブで様々なネタの内容を変えて試したり、同じネタでも、ボケやツッコミを少しずつ変えていくんです。そんな中で一番ウケたものや、手応えがあったものを組み合わせてM-1に出たようです。
結果的に面白いものを見せられ、ネタを披露する4分間が、職人的な作りあげ方で構成していく和牛とは好対照だと思います」
近年の『M-1』は、常連化したような実力派が登場し、しのぎを削る形が多いが、そんな状況の中、霜降り明星は新鮮で、優勝にふさわしい実力を持っているという。
「関西でも、“これからくる”と言われ続けてきました。R-1でも、2人とも決勝に残るほど、それぞれの力もある。トークやロケもいけるオールラウンダーですし、M-1の場合は一発屋というよりじわじわ売れてくることも多いですから、これから期待できることは間違いないです」
とろサーモン&スーパーマラドーナ騒動が沈静化してからが、霜降り明星の本格的な活躍のスタートとなりそうだ。
<取材・文/渋谷恭太郎>