代表を決める日本選手権、結果は8位。練習メニューをガラリと変えた1年後、『びわ湖毎日マラソン』('17年3月)では28位に沈む。その後、結婚し、人生の伴侶を得た。北海道マラソンでは速すぎたペース配分を見直し、見事優勝! 

「こみ上げてくるものはありました。ただ、MGC対象レースに決まる前にエントリーしていたので、(MGC出場権獲得は)“そうだったんだ”くらいの感じで。今となっては、焦ってMGC対象レースに出なくてもいいのでよかったなとは思います」

“世界の舞台”でしっかり活躍したい

 ズバリ来年9月のMGCで、東京五輪の代表を射止める自信は?

「僕の場合、欲を出すと、自分を見失って走れなくなるところがあるので」

 大迫傑選手や設楽悠太選手は、日本記録を更新して1億円をゲットしているライバルだ。

「いいなぁと思います。ただ、僕は大学4年で脚を痛めて以来、やってきていることが彼らとはまず違う。比べると自分の足元が見えなくなりますし、比べたところでしかたがない。もちろんMGCで勝負したい気持ちはありますし、母国開催の五輪を走れたらうれしいし、光栄。

 ただ“東京五輪だから”と特別視したくない。陸上は、五輪はもちろん、世界選手権やワールドメジャーシリーズのマラソンもあり、いろんなところで世界と戦うことができる。僕は“世界の舞台”でしっかり活躍したい。それだけなんです」


《PROFILE》
村澤明伸さん ◎日清食品グループ 陸上競技部(東海大OB)。箱根駅伝に3度出場し、計32人抜き(すべて2区)を達成。'17年8月、北海道マラソンで優勝(2時間14分48秒)し、MGC出場権を得る。自己ベストは2時間9分47秒。