本当の恋愛は降ってこないんだろうな
「私もハナと同じように“もう本当の恋愛は降ってこないんだろうな”と思っていたんです。でも、ひょんなことから、今までにない関係性を築けるパートナーがそばにいてくれるようになりました。
くだんの担当さんは、今のパートナーのことも前の夫のことも知っているんですね。私の変化を目の当たりにしていることもあり、“今の幸せそうな由佳さんのことを書いてください”と言われたんです。
恥ずかしいのですが、『週刊女性』さんということで、包み隠さずお話ししました(笑)」
物語には、実際のエピソードをもとにした場面が随所に登場しているという。例えば、ハナがとあるモノをぶん投げたりトキヲにつかみかかったりするケンカの場面もそのひとつだ。
「あのときの“リアルハナ”はかなり派手に荒れまして。小説には書かなかったのですが、壁をガンガンと蹴り、その壁のことを気にする“リアルトキヲ”に腹が立ってさらに怒りがこみ上げてくる、という。
その後、ふたりで“あのときはおかしかったよね”と将棋の感想戦のようなことをして、あ、それは書きました。……あぁ、本当にバカで恥ずかしい(笑)」
冒頭部分にはハナの次のようなセリフがある。
《―親や友だちにも、本音でぶつかった例しはなかった。だけどトキヲにだけは、どんな自分を見せても大丈夫って思える。どうしてかな。トキヲが私を本気で嫌いになることなんかあるはずないっていう、おかしな確信があるの―》
「私はこれまで、人間関係というものはいつか終わるものだと思っていて、どこか雑に生きている部分があったような気がします。
どうせ終わると思っているから、相手への不満をためにためて、最後の最後に爆発して全部が終わるということを繰り返してきたのかもしれません。でも、本当に相手を大切に思うならば、終わらせないための努力をするものなんですよね」