ジェトロの「中国映画/テレビ市場調査」の資料によれば、日本の放送コンテンツの中国輸出は徐々に多くなっている。
『深夜食堂』の中国版も非常に話題を呼んだが、日本の人気ドラマの中国版リメイクも多くなっているようだ。昨年大ヒットした石原さとみさん主演の『アンナチュラル』も中国の会社にリメイクされるのではないかという話も出てきているそうだ。
十数年前から中国若者を魅了してきた岩井俊二監督の新作『你好、之華』が、この11月9日から中国大陸で上映されている。主演の周迅(ジョウ・シュン)さんは、中国では知らない人がいないほど著名な40代女優だ。
『Love Letter』の中国版とも呼ばれ、上映19日目で約13億円の興行収入を得ている。魅力的なところは、岩井俊二という自分の青春時代を代表する監督と日本風(日式)ストーリー、そして周迅が、中年の役として歳相応の役を演じていることである。
中国若者が日本映画・ドラマにハマる理由は、強固な忍耐・努力から柔らかい多様なライフスタイル、年齢相応の美しさに変わっている。消費主力軍の30、40代女性の潜在的なニーズを満たしており、彼女らへのアプローチするうえでのヒントもたくさん見つかるだろう。
中国人女性の潜在的なニーズとは?
最後に1つの例を挙げると、中国では女性の飲酒にネガティブなイメージを持っているが、日本映画・ドラマでは「がぶがぶと」お酒を飲んで「美味しい!」と言う女性を見て、その自由さ・爽快さに惹かれる中国人女性が意外と少なくないことをご存じだろうか?
「ほろよい」(アルコール度数が低く飲みやすいサントリーの缶チューハイ)を買い求めると、違う味や限定版を買い集め、インスタ映えよく写真を撮り、SNSで自慢する訪日中国人女性が存在する。
本格的な酒蔵ツーリズムはもちろん効果があるが、このような、中国人女性の深層心理を理解し、ニーズを満たすコンテンツを見つけ、ビジネスにつなげることが重要だろう。
劉 瀟瀟(りゅう しょうしょう)三菱総合研究所 研究員。中国・北京市生まれ。外交学院(中国外務省の大学)卒業後、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)(中国)に入行、営業と業務に携わる。その後、東京大学大学院修士課程を修了、三菱総合研究所入社。日本・中国を中心とした生活者行動分析、マーケティングを担当。共同通信政経懇話会講師、首相官邸観光戦略実行推進会議有識者等。