脱カリスマ、等身大で狙う再ブレーク
“アムロス”という言葉が生まれるなど、多くの人に惜しまれながら芸能界を去っていった安室と、近年、登場するたびに叩かれがちな浜崎の違いはどこにあるのだろうか。ある音楽番組関係者は言う。
「安室さんは、結婚出産で一時活動を休止しました。復帰後は、R&B寄りの方向性で活動する一方、2000年の『九州・沖縄サミット』のイメージソングや、16年のリオ五輪のNHKテーマソングなど、アムラー以外の層にアピールできる曲が複数あったことは大きいのではないでしょうか。
そこに引退需要が起こり、新たなファン層も獲得した。CMなどで楽曲が使われ続け、曲やアーティストの存在が風化しないまま、惜しまれ型の需要が爆発したのは、『ボヘミアン・ラプソディー』で人気が再燃するクイーンの再評価ぶりに少し似たものを感じます」
いっぽう、あゆはといえば、
「まず、近年は体形を指摘されることが多かった。しかも、ネットやSNSでその画像が拡散されてばかりいました。自ら自撮りを頻繁に掲載するのですが、それが細かったり脚が長かったりと、加工をしているのではないかという疑惑も生まれたりした。
プライベートも、海外のゴシップセレブのような扱いでしたね。ライブや新作発表も積極的に行っているけど、それらの活動より、ネットでの『笑われ』『いじられ』キャラ化してしまった。かつてのカリスマ性は薄れてしまったのではないでしょうか」
しかし、そんなだからこそ、あゆを評価する声もあがる。
「近年のあゆは、神秘的なカリスマではなく、ナマっぽさを感じさせる存在になりました。体形が変わったり、売り上げが伸びなくて、もがいたりあがいたりする姿に、好感を持つ人が増え、“一周回って”面白味を感じる人もいます。
とはいえ、テレビ出演での態度の悪さに批判的な言葉が多いことも事実です。ここで一度、開き直ってカリスマでない等身大の40歳の女性という姿をアピールすればいいと思うのですが。それこそDA PUMPが“ダサかっこいい”で再ブレイクしたように」(前出・音楽番組関係者)
アーティストとしてのあゆが、女性ソロ売上歴代1位にふさわしく再評価される日を待ちたい。
<取材・文/渋谷恭太郎>