アンナ最大のヤバポイントとは

 それでは、どこがヤバポイントなのか。

 同番組で、辰夫はアンナへのメッセージとして「優しいアンナでいることを心してください」「“大丈夫よ、パパ、そうなるから”と言ってほしい」と涙ながらに訴えます。辰夫の発言を、アンナは「優しくなれば、きっと素敵な男性とめぐりあえて、素敵な家庭を持てるとパパは言いたいのだろうけど、私は結婚が幸せと思っていない」と分析していました。

 分析した辰夫の優しさへの考え方とアンナの考え方が同じだった場合、ここで疑問に思うのが、優しさって、男性のため、もしくは結婚するためのものなんでしょうか?

 子どもがいて、老いた親がいて、またファッションブランドのプロデューサーとして過ごすアンナには、状況に応じた優しさが常に求められていると思うのです。特に辰夫は大病を経験したわけですから、再婚うんぬんの前に一番優しく接する必要がある人物ではないでしょうか。

「結婚が幸せではない」と言いながら、どこか思考回路がオトコ至上主義。これがティーンエイジャーであれば許されますが、母という立場、親の面倒をみる年齢にそれはふさわしいのか。40代なのに、いつまでも娘気分。

 アンナをそうさせた原因として、娘にNOと言えない辰夫の存在が挙げられるでしょう。辰夫がアンナを愛するほど、アンナはオトナになれないという共依存。ここに気づいていないことが、アンナ(と辰夫)、最大のヤバポイントに思えてならないのです。


プロフィール
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。