都立高校事件の背景はともかく、教師が“ハメるために撮られる”“撮ったものでハメられる”ターゲットになっているのは間違いない。

 学校問題に詳しい高島惇弁護士は、担当した案件でこんな事例があったと話す。

「生徒が新任の女性教師に成りすまし、SNS上でわいせつな画像や学校に関する情報を発信した事案がありました。犯人の生徒はすぐに特定され退学になって収束しましたが、被害教師は精神を病み休職してしまいました」

常に録音・録画されている心構えを

 教師を苦しめるのは生徒だけではない。

「PTAの懇親会で、お酒を飲んで顔が真っ赤になった男性教師が写真を撮られた。その写真の一部を切り取られ、隣に座っている保護者と男性教師が不倫をしているとでっちあげた情報をSNSで拡散されたケースもある」(前出・阿部代表)

 モンスターペアレンツの出現もあって、いまの教師は常に“録音・録画されている”との心構えで行動するのが常識になっているという。

「今回の騒動を大きくしたのもほかの生徒が動画を撮影し、ネットに流したためです。先生たちは常に見られていると意識しているはずですが、カッとなって2人の世界に入ってしまったのでしょう」(同)

 この事件をめぐっては、生徒の乱暴な言葉遣いにも注目が集まった。キレた理由が何にせよ、教師に対してあの口のきき方はないだろうというものだ。

 非行少年の更生支援を行う『チェンジングライフ』の野田詠氏代表は、家庭環境にも一因があると話す。

「学校の行事で教師の話を聞かずに保護者がおしゃべりをしているのに、なぜ子どもが先生の話を聞くのでしょうか。そういった親の姿を子どもはちゃんと見ています。親が教師をなめていて、子どもが先生を尊敬することはできません」(野田代表)