CKDが高血圧を引き起こし、腎臓の負担が増し、さらに血圧を高める……この負のスパイラルで心臓血管病も起こしやすくなる。
食事療法と運動が基本
睡眠の質が低いと人工透析のリスクを高めるという報告もある。大阪大学の研究グループによれば、睡眠不足や過眠傾向のあるCKD患者は、ほかに比べて透析に至るリスクが1・3~2・1倍高かったという。
CKDも糖尿病と同じく生活習慣による影響が大きい。塩分や脂質の多い食事は動脈硬化や高血圧、高血糖を招き、CKDになるリスクも高めてしまう。
そのため治療は、糖尿病と同じく食事療法と運動、それから利尿薬などを使った薬物療法が基本になる。
「腎臓のろ過作用に負担をかける塩分を控えて。ごはんなどの糖質は総カロリーの55%程度におさえましょう。患者さんには“ときには食べすぎてもいいけれど、その分を3日から1週間かけて食事をコントロールすることで、帳消しにしてね”と伝えています」
肥満はCKDを引き起こす原因のひとつ。予防を考えるうえでダイエットは重要なポイントだが、意外な落とし穴も。
「最近、やせることを目的に糖質をとらない食事法が一部で流行していますが、過度な糖質制限は、腎機能の低下を引き起こしかねません」
CKDが重症化した場合、腎臓の移植手術が必要になる。そこで近年、注目されているのがiPS細胞を使った腎臓再生と、その移植だ。“腎臓の芽”となる前駆細胞をブタなどの動物の体内で作成、最終的に人間へ移植する技術が開発されつつある。
「患者さんにとって福音となることは間違いありません。まだ動物実験の段階ですが、こうした研究が実を結び、早期に治療の現場で使われるようになればと思っています」