サードシングルはご存じ『きよしのズンドコ節』。コンサートのフィナーレを飾ることも多いこの曲をもらったとき、どう感じた?
「おもしろいことを考えるなぁと思いました。そして、流れに身をまかせてみようと思いました」
スターとなった自分自身への戸惑いを、この曲が吹っ切らせた。
「今、『きよしのズンドコ節』があることはすごく感謝しているんですが、もう17年も前の歌。次の“氷川きよしといえばこの曲!”といってもらえる曲を作らないといけない。
やはり、年齢とともに価値観や伝えたいことは変わってくる。今は人生を歌いたい。男として、女として、とかじゃなくて。人としてどう生きるべきかを伝えたいんです」
そう考えるようになったのは、一昨年。アニメ『ドラゴンボール超』の主題歌『限界突破×サバイバー』を歌ってから。
「悟空のおかげで、自分は本当に変わった。歌詞に“可能性のドアはロックされたまま”ってあるんですが、まさに自分自身でした。そして、自分は可能性をいっぱい持っているってことに気づかされました」
ヘッドバンキングありのハードロック。今までに見せたことのない姿だった。まさに可能性のドアを開け、歌手としての新たなステージへと進んだのかもしれない。
振り回されない強さを年齢とともに身につけた
この19年の間で変わったことを尋ねてみると、
「強くなれましたね。鍛えられた。やっぱりこの仕事をしていたら、いろんなふうに言われたり、思われたりもします。悔しいこともいっぱいありました。僕はどちらかというと、子どものときから言い返せない子でしたが、今は何を言われても“大したことないな”って思える。
振り回されない強さを年齢とともに身につけように思います。しっかりと自分を持った、一喜一憂しない生き方をしていきたい。自分は何をするべきか。歌で伝えていく。それがはっきりとわかったことが、変わったことだと思いますね」
そのときどきは一生懸命だったが、いま思うと仕事をこなしていくだけで精いっぱいな時期もあったと、きよしくんは厳しく振り返る。
「でも今は、自分で“こういうものを歌いたい!”という明確なビジョンがあるので、作品づくりがすごく楽しいんです。とにかく次から次へとアイデアが浮かぶ。これから、いっぱい楽しいことができるなって思っています」