“カーリングの聖地”も大人気
遠く離れた北の大地にも、新語・流行語大賞年間大賞になじみ深い市町村がある。「そだねー」を生んだ平昌オリンピックのカーリング女子日本代表『ロコ・ソラーレ』の選手たちの生まれ故郷、北海道北見市常呂町だ。
「銅メダルを獲得後、選手たちの練習拠点『アドヴィックス常呂カーリングホール』の見学者は平昌前の何十倍にも膨れ上がりました」
そう話すのは、自身も長野オリンピックのカーリング競技男子日本代表として活躍し、現在は常呂教育事務所に籍を置く近江谷好幸さん。“そだねー効果”もあって、昨年の夏休みはファンであふれかえり、
「彼女たち行きつけのお寿司屋さんは、町外の訪問者でいっぱい。われわれは入れないんです」(近江谷さん、以下同)
と笑う。試合中に食べていた北見市の銘菓『赤いサイロ』は一時、入手困難になったほどだった。
常呂町カーリングホールは、昭和63年にアジア初のカーリング専用ホールとして誕生。平成9年までに町内の全小中高の学校の体育の授業にカーリングを導入した。トリノオリンピックで一躍、脚光を浴びたチーム青森も、ベースは常呂町にある。
「町を挙げてカーリングに取り組みましたが、初めからオリンピックを見据えていたというわけではないんです。せっかくカーリングの専用ホールができたのだら、施設を有効利用しよう、ということでした。そういった流れの中で、本橋麻里選手や吉田知那美選手といった選手たちが出てきたんです」
『カーリング支援推進委員会』という、民間の有志が集まり、選手たちの支援や応援をしているという。行政主体ではなく、地域の人たちがまさに手作りで育てていくという姿勢がマッチしているのだろう。
「常呂町は現在、人口が4000人を切るほどですから、彼女たちの活躍によって町が活気づくのはうれしいこと。同時に、選手たちも地元・常呂町を盛り上げようという気持ちがあります。一丸となれることが強みなのだと思います」
平成の初めにはマイナーだったカーリングは、今や人気ウインタースポーツの一角にまで成長。スポーツ発展の背景には、町とそこで暮らす人々の二人三脚が欠かせないことを、常呂町は教えてくれる。
スポーツ界に新風が吹いた平成。次の時代はどんな変化をもたらすのか──。