誰にも負けない魅力とは……

 柄本の“ここは負けない”というところを聞くと、

柄本弾 撮影/ShokoMatsuhashi
柄本弾 撮影/ShokoMatsuhashi
【写真】レッスン中に宙を舞う柄本弾

演技や女性をサポートすること。そして、主役としての存在感は負けたくないですね。コンラッドの心境をド・ストレートに伝える部分や、女性をキレイにサポートするところは、やっぱり負けたくない

 バレエを始めたのは5歳のとき。教室に通っていた兄と姉の影響だった。

「自分からやりたいと言ったみたいですけど、バレエを習いたいというより、兄や姉と同じことがしたかったんだと思います」

 そのままどっぷりとバレエの道へ―とはならず、184センチの長身を生かし、水泳や少年野球、バレーボールにバスケットとさまざまなスポーツを経験。その間も、週に1、2回のレッスンを続けていた。

 転機は、高校1年生の冬。同年代のバレエ男子と踊る機会があったのだが、周りはコンクールに入賞しているような子ばかりだった。「みんな、こんなにうまいのか」と衝撃を受け、そこからはバレエ一色に。

「お客さまから拍手をいただいたときのうれしい気持ち、それが、バレエに本気になった大きな理由です。今も拍手が頑張れる糧になっています」

 高校卒業と同時に18歳で日本を代表するバレエカンパニー『東京バレエ団』に入団。当時は叶わないだろうと思いながらも心に決めた“5年でソリスト(準主役のポジション)、7年でプリンシパル(主役)”の目標を前倒しで実現。なんと23歳でバレエ団の顔、プリンシパルとなった。