演芸番組『笑点』の司会でも顔が売れている落語家の春風亭昇太(59)が、公益社団法人落語芸術協会の次期会長に内定したと、一部スポーツ紙に報じられた。6月の役員改選で正式に選ばれる見通しだという。

「昇太でいいじゃないか」

 会長代理を務めている三遊亭小遊三(72)が、そのまま会長に就任するとみられていたが、

「本人は最初から会長職を嫌がっていた。“昇太でいいじゃないか”、と数年前から吹聴し、外堀を埋めていた」

 とは事情を知る演芸評論家。

「今回の人事は、小遊三さんにも得、昇太にも得になる決定。それぞれがプライスレスな評判を得ている」(同)

 とも指摘する。

 小遊三は2016年、不整脈の手術を受けている。年齢も年齢だけに無理はしていないが、決して万全ではない。

会長職に就けば、それなりに付き合いが増える。気を使って身体を使う。それに見合うほど、公益社団法人の会長は格があるものだが、もともと小遊三さんは欲がない。周囲からは、“1期だけでも会長職を!”と求められたのですが、それさえも受けないのですから、“小遊三さんはさっぱりしている!”と周囲の評価も一段あがりました」(関係者)

 その会長就任が内定した昇太は、何を得するのか。

落語家の大きな収入は地方営業です。平日は東京にいても、週末は地方で稼ぐ、というのが理想的な稼ぎ方。現在、昇太クラスは、地方に行けば1日50万~70万円くらい稼げますが、会長職に就くことでご祝儀相場も発生しますし、1、2割アップするのは確実」

 と見るのは落語会主催者だ。

 それ以外にも、公益社団法人の会長として、他団体と外交したり、役所の会議に出席したり、真打ち昇進披露興行や襲名披露興行があれば、長期間にわたり寄席に顔付けされるという縛りを負う。

 このところ昇太は、毎年5月から6月に新橋演舞場で三宅裕司率いる『熱海五郎一座』の公演にレギュラー出演しているが、

「来年以降は、真打ち昇進披露興行とまるっきり重なるため、スケジュール管理が大変になるでしょうね」(前出・演芸評論家)

 一方、プライベートでは独身を貫く。つい先日も会見で「若く見えても今年、還暦なんですよ」と明かし笑いを取っていたが、結婚願望のにおいをまったく漂わせない。

「一軒家にひとりで暮らしていますが、すべて自己完結できてしまう。アジの干物も自分でこしらえるほどです」

 と前出・演芸評論家。

「師匠がいないと、弟子は家に入れない。それでも荷物を届けに行ったりするわけです。玄関に置いて帰ればよかったのですが、奥の部屋に置こうとしたら、その境界にセコムが設定されていて、警備員が駆けつける騒動もありました。家に芸人仲間を呼んでも、台所には一歩も足を踏み入れさせないんです。あれじゃ、一緒にいてくれる女性は難しいかと……。あまり人を信じない了見と言うんですかねぇ」(同)

 ともあれ、都内の一等地に一軒家を構え、都心に個人事務所を抱え、社長やスタッフを食わせているという“稼ぎ力”がさらにアップすることは間違いなさそうだ。

<取材・文/薮入うらら>