周辺住民にも知られている、両家の境界線トラブル。
近くの70代男性は、
「火元が保田容疑者宅だったから、周囲がよく思っていないのも無理はないが、事件になるとは思わなかった。土地を売るため境界線のことで文句を言いに来たのを、強気で突っぱねたため火に油を注ぐような感じになったのでは」
と読み解く。
火災後、保田容疑者一家は市営住宅に引っ越し、土地(登記上は保田容疑者の父親名義)は駐車場として使われてきた。
かつて斡旋していた不動産会社社長は、保田容疑者から駐車場トラブルでクレームを受けた際のことを振り返る。
「すぐカーッとなるタイプですから、いろいろと理不尽なことを言われました。社会的な常識もちょっと……」
保田容疑者は、市営住宅の自治会にも参加していたが、
「発言は利己的というか、自分中心というか、自身の意見が絶対正しいんだという感じの人でしたね」(60代女性)
と、ここでも評判は散々。
さて、どうすれば境界線トラブルを防げるのか。
東京土地家屋調査士会の広報事業部副会長で土地家屋調査士の佐々木義徳さんは、
「土地の売買や建て替えから境界線のトラブルが顕在化していくことが多いのです。だからこそ、トラブルになる前に専門家をはさんだうえで、近隣と境界線を確認しておくことが大切です」
40年前の食い違いが、殺人未遂にまで発展してしまった今回の事件。加害者は、「土地の境界線に関するトラブルがあった」と供述し、被害者の親族は、「一方的に言いがかりをつけられたという印象です」と不満を漏らす。
両者の認識は合致していない。トラブルのもとはくすぶり続ける。