ファンだけではない、新潟県民の思い
2005年に誕生したAKB48、そして2008年のSKE48を皮切りに全国に広がっていったAKB48グループの基本コンセプトはいずれも「会いに行ける」というものです。
特に中心的存在であるAKB48が大ブレイクし、国民的アイドルという肩書を得て以降、その姉妹グループも国民的ブランドの安心感を後ろ盾に地域密着を掲げ、それぞれの地方で活動してきました。
その中で2015年に国内5番目の姉妹グループとして誕生したNGT48。グループの活動拠点である新潟県は、他のAKB48グループの活動拠点(東京都、愛知県、大阪府、福岡県、瀬戸内7県)と比べても飛びぬけて人口減少率が高く、また高齢化もかなりハイペースで進んでいる地域になります。
同じく人口減少と少子高齢化に直面している地方に住む人間として、新潟に思い入れを抱いて生きている人たちの日々を思えば、NGT48が掲げた「地域密着」の言葉はどんなにうれしく、そして、どんなに支えになったことかと思います。
だからこそNGT48の場合は新潟県をはじめ県内各市町村、また地元企業からの手厚いバックアップも早々に実現したのでしょう。
しかし事件発生以降の対応、特に山口さんの証言に見られるようなAKS側の被害者無視の態度は、NGT48はもちろん、AKB48グループというブランドそのものへの信頼まであっという間に失墜させました。
そしてここにきて不思議なのは、AKS側にはどうやら新生NGT48プロジェクトをもう一度、始める意思があるらしいということです。
被害者を救えなかったばかりでなく、何よりも「地域密着」に対する地元の大声援を最悪の形で裏切ってしまったアイドルグループが、はたして地方でこの先どんな夢を紡いでいくつもりなのか。私には新生NGT48の明るい未来が、いまだまったく想像できていません。