果たして、どうなる消費税

 さらにトランプ政権が、4月中旬に行われた日米貿易交渉の席上で、消費税の輸出戻し税を“輸出補助金”と指摘したことも、“増税待った”の背中を押すのではとみられている。どんなことにしろ、アメリカの圧に弱い日本だ。

 前出・森永氏は、

「連休に入ってから、安倍首相は麻生財務相を私邸に呼んで、2時間も会談している。増税は財務省の悲願なので、それをどういうふうに抑え込むかというのを2時間かけて打ち合わせたと考えます」

 と分析。延期発表日程についても織り込みずみで、

「(通常国会の)会期末が6月26日なんですが、延長するかもしれない。そうなると7月第1週になる可能性が高いかもしれない。そこで延期を発表して、衆参ダブル選挙が7月末になると思います」

 萩生田氏が延期の理由として言及したのが、日銀の短観(全国企業短期経済観測調査)。約1万社に、3か月ごとに景況感を尋ねるもので、6月の短観はちょうど7月1日に発表される。タイミングはどんぴしゃりだ。

 しかし、“萩生田発言”を、世論はあまり歓迎しなかった。

消費税を上げるべきか、上げないべきかというのは誤った選択肢。消費税を上げるか社会保障をカットするかを議論するのが本来の政治です。高齢化が進み社会保障の支出が増え、放置しておけば財政が改善される見込みはない。国の借金にもどこかで限度がある。そうなれば社会保障が大幅に削減される。国民の将来リスクを無視して、目先の延期のことしか考えない」

 と前出・八代教授は、国民に正対しない政治、長期的にものを見ない議論を皮肉る。

 沈静化された“萩生田発言”が、首相周辺でまだくすぶっているのか。「3度目の凍結」決断が迫る。