SNS時代突入でケンカも変貌

 周囲を巻き込むことになったのは、“サッチー・ミッチー騒動”として芸能史に刻まれているタレントの野村沙知代さんと剣劇女優の浅香光代(91)の大騒動。それぞれの陣営に元フィギュアスケーターの渡部絵美(59)、女優の十勝花子さん、タレントのデヴィ夫人(79)、タレントのテリー伊藤(69)らが続々参入する騒ぎに発展した。

 そんな芸能人同士のケンカも、時代が変わるとともに、形を変えている。

「以前は、タレントにテレピック(電話取材)したり、わざわざ出向いてコメントをもらったりしなければなりませんでしたが、今はSNSで発信してくれればメディアもすぐに食いつく。それで、騒動がより大きくなる

 と情報番組デスク。さらに、

「ただうちの番組は、今回の映画をめぐる騒動は取り上げる予定はありません。サッチー・ミッチー騒動のときの発言者の多くは、自分も被害にあったという、いわば当事者でしたから興味もありましたが、佐藤浩市とほかの人々は、まったく利害の当事者ではない。お互いどう発言しようが自由ですからね」

 当事者以外の人物が騒動に参入できるのが、SNS時代ならではの現象になった。

 話題になっている作品、映画『空母いぶき』について映画ライターは、

「いい映画でしたよ。尖閣諸島と敵対国をめぐる危機管理が官邸の苦悩とともにきちんと描けていて、百田さん好みの作品じゃないでしょうか。非常に重厚感のある首相像で、安倍首相も見れば絶賛したくなるはず」

 と前置きし、佐藤浩市のオリジナルインタビューを、批判側が誤読しているのではないか、といぶかしがる。

「批判側が問題視しているお腹の弱い首相という設定も、そういう状況に置かれながらも危機に直面した日本をどう舵取りするかという、逃れられない宿命。それを乗り越えていく政治的成長を描くための設定であり、決して安倍首相を揶揄するためのものではない、と誰だって読み解けるんです。

 あとは、ご覧になってください、としかいいようがないですね。特に、猛烈に批判している人の中には、映画を見るのをやめた、とまで言っている有名出版社の社長もいますが、彼はスポーツ紙が主催する映画賞の選考委員に名を連ねている人物。今年度も選考を担当するかどうかはわかりませんが、そういう人が“見ない”と発言するのは、どうなんでしょうかね

 大抵の芸能関連のバトルは、一時の炎上を経て、視聴者や読者に飽きがこられる運命にある。いつまでも世間は関心を持たないのが常だが、

映画にとってみれば、いいも悪いも全部宣伝、ですからね。関係者の本音は、今回の騒ぎをありがたがってるんじゃないでしょうか」(前出・映画ライター)

 騒動に火を注いだ百田氏のツイッターが、映画にとっては神風になるかもしれない。

<取材・文/薮入うらら>