最新の医療事情と
強烈な人間ドラマ

 満島が強調する“愛にあふれる撮影現場”には、船津浩一プロデューサーも同意見という。

「大きな愛で包み込むような鶴橋監督をキャストもスタッフも、初対面でもすぐに好きになっちゃうんです。主要キャストだけでなく、エキストラの方、新人や若手スタッフまで全員に“頑張ってるか?”と話しかけてくれるのがうれしく、自然と頑張ろうという気持ちになるんです。

 岡田さんは“(いい演技をして)監督の喜ぶ顔が見たい”とよく言っていました。満島さんもキーマンとして財前への感情の変化など、いいお芝居をしてくださいました

 満島は制作発表で、岡田がオペシーンをアドリブで進めると言っていたが?

岡田さんは医療指導を受け、ご自宅でも新人医師の練習用キットで練習されていたのでクランクイン前には、ひととおりできるようになっていました。

 撮影ではワンシーンごと監修の先生に確認しているうちに、ある程度、習得されたと思います。脚本には書ききれなかったセリフまで出てくるようになっていました」(船津P、以下同)

 腹腔鏡に電子カルテなどの医療機器、がん告知、医療ミス裁判などは、原作刊行時より医療技術が進歩した現代に合わせてアレンジしているが、変えないものもあるという

「人間ドラマです。『白い巨塔』は医療ドラマの金字塔ですが、登場人物の強烈な人間ドラマが素晴らしいんです。ですから人間関係やキャラクターは極力、壊さないようにしました。

 財前はじめ、すべての登場人物が人間の面白さ、愚かさ、弱さや強さなど、いろんな面を持ち合わせているんです。

 財前は単に勧善懲悪な正義の味方でもダークヒーローでもありません。ですが彼が野望をもってどんどんのしあがっていくエネルギッシュな行動力には、いい悪いではなく引き込まれると思います」