トラブルの筆頭は「親のお金が下ろせない!」
まず、あなたは親の年金額を知っていますか? 年金額が月5万円の親と月13万円の親では、選択肢がガラリと変わってきます。一方で、年金が少なくても、預貯金や株などがあれば民間の有料老人ホームへの入居が可能になるケースも。「多くの子は親の懐事情を知りませんし、聞きにくいもの」と太田さん。だからこそ、注意や配慮をしつつ、焦らず、冷静に親と向き合って確認していきましょう。
介護のために必要とはいえ、いきなり「預貯金はいくら?」と聞くと、「財産を狙っているのか!」と親も不快に感じるでしょう。
太田さんのおすすめは、次のような方法です。例えば骨折や病気などをしたとき、「今回はこれですんだけれど、今後のことを考えよう」と切り出す。または親の医療費がかさんだ年に、「手伝うから、確定申告をしよう」と確定申告をきっかけに、財産について尋ねる。ほかにも、「友達の親御さんが入院したんだけど、通帳と印鑑を銀行に持って行ってもお金を下ろせなかったそう」と人の話を織り交ぜ、相談する手もあります。
「介護で困ったトラブルを聞くと、親の預貯金を下ろせなかった経験が真っ先に挙がります」と太田さん。親と話ができる状態であればキャッシュカードの保管場所と暗証番号を聞いてお金を下ろしに行けます。ただ、脳梗塞などで急に倒れるなど、意識がないケースも。高齢な親ほど、キャッシュカードを作っていない人も多いそう。銀行窓口で通帳と印鑑を使ってお金を下ろすには、親子であっても委任状が必要です。また、名義人に判断力がないとわかると、口座を凍結されてしまうこともあります。できれば親が元気なうちに対策をとっておきたいところです。
義理の親にはどう話す?
「義理の両親に、介護が必要になったときにどうしたいかや、懐具合を聞くのはまず無理。義理の両親と信頼関係がこじれると修復不可能なので避けましょう」
と太田さん。
そこで必要なのが、夫とよく話しておくこと。それぞれの親が倒れたらどうしたいかを話しましょう。
「避けたい話題かもしれませんが、話し合わないともっと大変なことに。義理の親が急に倒れたら、お互いの希望をすり合わせる時間や余裕はありませんから」(太田さん)
また、ひとりっ子の場合、実の両親と義両親とのW介護になるおそれも。そんなときは、「私はあなたの親の介護はできない」ではなく、「あなたの親が倒れたとき、お手伝いはできるけど、主な介護者にはなれない」と話しておくこと。相手の気持ちや立場を考えつつ、自分の希望を伝えましょう。