「おばあちゃんは長男の事件のことで、老人ホームで後ろ指をさされるようなこともあったとか。彼はそのことにすごく責任を感じているようです。だから時間があれば、おばあちゃんに会いに来ていますよ」(介護施設関係者)
祖母も彼をとても歓迎しているという。
「おばあちゃんはご家族が来ると、うれしそうにしていますね。たまに孫のことを自分の息子と間違えるときもあって、“自慢の息子です”と言ったりしてます」(同・介護施設関係者)
介護の意見が食い違う場合、どうすべき?
“家族間で介護の意見が食い違うことは珍しくない”と話すのは、介護ジャーナリストでオールアバウトガイドの小山朝子さん。
「おそらく長男は母親のように自分を育ててくれた祖母に対する愛情があって、慕っているのでしょう。ですが、今は“人生100年時代”。90歳近い祖母の介護がいつまで続くかわかりません」
また、高畑は長男が実際に自宅での介護を始めても、途中で“できない”となってしまったケースも考えているのでは、と小山さん。
「そうすると、高畑さん自身が介護を担うことにもなりかねません。そこに対する不安、懸念があるのではないでしょうか。結局、また施設に戻すことになると、認知症である祖母に影響を与えかねない。
一般的には、認知症の患者は生活する場所をあまり変えないほうがいいと言われています。高畑さんはそういう影響も考えて、自宅での介護を反対されているのかもしれません」(小山さん、以下同)
まだ25歳である長男の将来も心配だという。
「長男自身は、自分はこれからどうやって生きていくのかなど、将来のことも大事でしょう。祖母のことだけでなく、自分のライフプランもあわせて考えていかないと、自身も周囲も不幸な結果になってしまいかねません」
20代から約10年間、祖母の介護をしていたという経験を持つ小山さん。
「祖母を大切に思う気持ちもよくわかりますが、一時的な感情だけで考えるのではなく、母親である高畑さんとよく相談して決めてほしいと思いますね。私の場合は自宅での介護に慣れるまでに2年間ぐらいは仕事を辞めていました。それぐらいの覚悟が必要なのではないでしょうか」
高畑家は今年、こんなお正月を迎えていた。
「おばあちゃんが老人ホームで行われるレクリエーションについていけないようで、“私はやりたくない”と言っていたんです。だから、お正月は高畑さん、長男、長女、そしておばあちゃんの4人でマージャンをしていたそうですよ」(前出・介護施設関係者)
家族を思えばこそのすれ違いもある。しかし、深い絆でつながった高畑家であれば、介護問題も“なつぞら”のように明るく解決する日も近いのかも。